耐へ堪へてトロリ滴る梅雨の悦 [花と昆虫]
春が来たと思っていたら、早や梅雨の気配です。昨日は雨。ベランダの銀杏の葉に、雨粒が溜まっていた。小雨のなかでマクロレンズで遊んだ。小さな雨粒が魚眼レンズのように、道路向こうの大きな建物を丸ごと写し込んで、妙なる世界を作っていた。雨粒が膨らむと、その世界がポタッと落ちた。
そのなかの一葉が、露を大きく膨らませて耐え抜いていた。その滴る瞬間を撮らんとカメラを構えた。いつ滴るか。我慢比べ。滴る瞬間に悦楽の味わいがありそうで、ファインダーを覗き続けた。だが、我慢比べに負けて先にシャッターを切リ、その直後にトロッと滴った。あたしには〝粘り〟が足りない。まぁ、せっかち。それが性分でもあろう。
せっかちで好機を掴み、また逃して来た。貧乏隠居ゆえ、逃がしたことが多かったのだろう。だが、老いぼれるのも先のことではない。身体が動かなくなったら、動かずじっくり粘れよう。そうなって、初めて見えるものもあろう。
そう呟いたら、かかぁがガハッハッと笑いやがった。「おまいさんのせっかちは、死ぬまで直らない。きっと死にざまも、せっかちだよぅ」
2014-05-22 04:42
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