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乍恐以書付奉願上候 [くずし字入門]

komonjyo2.jpg左記古文書筆写の<解読文&(読み下し文)>

乍恐以書付奉願上候(おそれながらかきつけをもってねがいあげたまわりそうろう)

一(ひとつ) 前々ゟ(より)杣御用(そまごよう)被〇(欠字) 仰付(おおせつけられ)有難相勤来リ(ありがたくあいつとめきたり)候処(そうろうところ)

古来之御直段ニテ(こらいのおねだんにて)壱人ニ付(ひとりにつき)代銀三匁宛(だいぎんさんもんめずつ)被下置候得共(くだしおかれそうらえども)

当時者(は)諸色ニ順シ(しょしきにじゅんじ)高直ニ相成(たかねにあいなり)難相勤(あいつとめがたく)候得共(そうらえども)

是迠者請負等(これまではうけおいとう) 又ハ少分之儀故(またハしょうぶんのぎゆえ) 御願不申上(おねがいもうしあげず)候得共(そうらえども)

此度ハ余程之御用ニテ足シ銀(たしぎん)仕候儀(つかまつりそうろうぎ)難儀仕候(なんぎにつかまつりそうろう)

何卒御慈悲を以(もって) 壱人ニ付(ひとりにつき)銀三匁五分ニ 被成(なされ)被下置候(くだしおかれそうろう)

様奉願上候(ようねがいあげたてまつりそうろう) 右願之通リ(みぎねがいのとおり)御聞済(おききずみ)被成下置候ハゝ(なしくだされおきそうらえわば)

有難仕合ニ(ありがたきしあわせに)奉存候(たてまつりぞんじそうろう) 以上

文化八末年十一月     戸塚村 甚右衛門

 

 江戸の戯作者好きから「くずし字」を勉強で版木文字に少し慣れたが、同じ「くずし字」でも古文書は苦手だ。封建制ゆえの仰々しい敬語綴り。直筆だから筆の流れのままのくずし字で癖も多い。字を見ていると、甚右衛門さんの筆持つ姿が浮かんでくる。あたしは寺子屋の小僧よろしく、一字ずつの筆写お勉強です。また漢文風読み下しにも慣れなければいけない。

まずは、わからぬ言葉をネットや辞書調べ。「杣」=木を植え育てて木材をとる山。木材を切り出す人。きこり。杣人、杣夫、杣木、杣板、杣入り、杣角、杣方、杣川、杣下し、杣小屋、杣道~。ここでは「杣御用」。知らぬ言葉に出会えば、己の無知を知る。江戸は麹町(現・四谷駅前)の尾張藩中屋敷での仕事だから、木こり仕事ではなく「雑草刈り+掘り起し」の野良仕事を「杣御用」と言っているのだろう。

人偏なしの「御直段」。「諸色・諸式」=よろずの品。品々。転じて物価。「足シ銀」も当時は使われていた言葉なのだろう。

 一人三匁から三匁五分に引き上げの要求文だが、「付札」が付いて「賃金三匁二分五厘」の回答あり。尾張藩渋いぜ。文化八年当時の相場は1匁=100文。三匁五分=三百五十文を要求で、回答が三百二十五文。畳職人の日給が三百文ほどで、それよりちょっと多い金額の攻防。数字音痴ゆえ不確か解釈なり。「付札」=公文書に貼付された付箋の一種で指令、意見、返答などがj記された。付紙、張札とも称する。


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