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野球熱すべてが消えて秋の虫 [スケッチ・美術系]

kousiensketch2_1.jpg 甲子園と軟式高校野球をテレビで観つつの「奇妙な喪失感」は、母校を無くした他にもあった。戦後少年の誰もがそうだったように、あたしも野球少年だった。

 1920年代後半。買ってもらったグローブはズック製で、掌部分にだけ豚皮が付いていた。最初は近所の年長組に混じっての草野球。小五になるとクラスチームが結成され、ユニフォームを揃えて日々の放課後練習が始まった。

 あたしはサードだった。小六になるとワケなくレギュラーを外され、関君がサードの座に収まった。小六にして人生ままならぬと知った。これで野球熱が一気に醒めた。どこか斜めに生きるようにもなった。

 五十過ぎに小学校のクラス会があった。関君と教師が、野球名門中学進学への経緯と入学後の厳しさを懐かしそうに語り合っていた。それを横で聞いて「あぁ、俺は彼の野球進学のためにサードを追われたんだ」と知った。

 少年には、熱中したものとの決別があろう。やり抜いた充実感は少なく、途中で飽きたり諦めたり、挫折したり不条理を体験したりて大人になって行く。そんな苦さを想いつつ、もう少し野球スケッチを続けてみた。タッチを少なくサッと描けたらいい絵になるのに・・・。隠居遊びもままならない。


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