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被為遊候、被為仰付、被下置候 [くずし字入門]

komonjyo3_1.jpg 左記の古文書筆写の<解読文+(読み下し文>を以下に棒組で記す。

 乍恐以書付奉願上候(おそれながらかきつけをもってねがいあげたてまつりそうろう)

 一(ひとつ) 私議 御屋形様御掃除御用向(おやかたさまおそうじごようむき)、数年相勤(あいつとめ)冥賀至極(みょうがしごく)有難仕合奉存候(ありがたきしあわせぞんいたてまるりそうろう)、然所(しかるところ)此度御代替(このたびごだいかわり)被為遊(あそばせられ)候ニ付(そうろうにつき)何卒乍恐(なにとぞおそれながら)御目見之儀(おめみえのぎ)、父甚右衛門(ちちじんえもん)通り、被為仰付(おおせつけさせられ・オオセツケナサレ)被下置候様(くだされおきそうろうよう)仕度(つかまりたく)奉存候、此段御聞済之程 偏ニ(ひとえに)奉願上候 以上 文政十夷年九月 戸塚村 甚右衛門

 御屋形様の代が替わって、挨拶を願い上げる文なり。「奉願上候=ねがいあげたてまつりそうろう」。「奉存候=ぞんじたてまつりそうろう」。「奉=たてまつる」は、自分をどこまで卑下するんだって感じで、どうも性に合わぬ言葉です。「被(られ)為(せ)遊=あそばせられ)」。「被(られ・レ)為(させ・ナサ)仰付=おおせつけさせられ、オオセツケナサレ。どちらでも可らしい。「被下置候=くだされおきそうろう」。「仕度=つかまつりたく」。封建制ならではの言葉。この辺は丸覚えがいいようで。嫌いな言葉たちです。

 「御屋形様」は時代小説にもよく出てくる。武家主人への称号。ここでは尾張藩主に尊敬をこめて「御屋形様」。当時の藩主は十一代将軍・徳川家斉(いえなり)の弟、徳川治国(はるくに)の長男で徳川斉朝(なりとも)。そして家斉の十九男・斉温(なりはる・九歳)に藩主が替わっての御代替。家温は一度も尾張入りしなかったそうで、無類の鳩好き。数百羽もの鳩を藩邸で飼っていたとか。二十一歳で死去。なお尾張藩をも君臨の徳川家斉は田沼意次を罷免し、松平定信を老中にして例の「寛政の改革」を行った将軍。(間違っていたら後で訂正)。かく復習して次回を受講です。


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