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テレビがポチになった日 [政経お勉強]

 3月27日のテレビ朝日「報道ステーション」その後がかしましい。古賀茂明が官邸圧力で降板することになったと言い、「I am not ABE」の自作ボードを掲げた。30日に菅官房長官が「事実に反するコメントだ。公共の電波を使った行為であり、極めて不適切。放送法があるので、テレビ局がどう対応されるのかを見守りたい」と〝圧力〟をかけた。

 その「放送法」をちょっとお勉強してみた。大本営一辺倒だった戦時中の放送を反省に出来たとか。だが政権はこれを逆手にとって攻撃し始めた。実際に「放送法」が問題になった事例がわかり易い。1993年の「椿事件」。以下、ウィキペディアの長文を200字で要約。

 細川連立政権誕生で、自民党が野党に下った。民放連の会合で「テレビ朝日」取締役報道局長の椿貞良が「ニュースステーションに圧力をかけ続けた自民党が許せない。反自民の手助けになるような報道姿勢で臨んだ」と語り、これに産経新聞が噛みついた。「放送法違反だ。電波法に基づいて無線局運用停止もありうる」。結果、椿は衆議院証人喚問に呼ばれて、その報道姿勢を否定。郵政省はテレビ朝日への免許更新(5年に1度)に政治的公平性に細心の注意をするよう条件を付した。

 次にここで問題の放送法を調べる。「第2章 放送番組の編集等に関する通則」の第4条。放送事業は~~ 一)公安及び善良な風俗を害しないこと。二)政治的に公平であること。三)報道は事実をまげないですること。四)意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。

 ついでに記せば、2011年には外国人株主比率を20%以下とする電波法違反で、フジテレビは28.59%で、あわや免許停止かと騒がれたこともあったとか。

 かくもテレビは制約されている。加えて自民党は野党転落時のテレビ報道のトラウマで、安倍政権はマスコミのトップらとの会食が活発で、彼らも弱腰で擦り寄っているそうな。結果、テレビはすっかり面白くなくなってしまった。ニュース番組も芸人の舞台と化した。芸人にとってテレビ局は神様仏様。逆らえぬ。本音も言えぬ。主義も殺して(あればの話だが)局の指示に従う。おっと、芸人でもサザンがチョビ髭で揶揄し(すぐに謝罪したが)や大田光が骨のあるところ(ラジオで安倍バカを連呼とか)を発揮しているらしい。

 故・筑紫哲也がテレビのジャーナリズムについて、こう書いていた。<「権力を監視する「犬」になるか、権力の「番犬」になるか。権力に情報と解釈を依存し、その伝達役にいそしむ時、それは権力の〝番犬〟である>(ジャーナリストとは何者か/岩波書店)で、今はあっちもこっちも「番犬」や「ポチ」ばかりになってしまった。またテレビ出演で生業っている人に、この件でコメントを求めても本当の事は言わない・言えない。

 放送法に無関係の活字媒体には、今こそ頑張ってもらいたい。「週刊新潮」の<大メディアを鷲掴み「安倍官邸」剛柔のカギ爪>と、「週刊文春」<「報道ステーション」古賀茂明AS古舘伊知郎 内ゲバ全真相>がちょっと面白かった。だが出版社や新聞社にも右寄り・左寄りがあって、そこを加味して読まなければいけない。しかし記者クラブにも属していないだろうネットサイトの方がグリグリ突っ込んでい「古賀茂明が報ステの放送中、放送後のスタッフとのやりとりすべてを明かした」なる記事をモノにしていたりする。

 今のテレビはポチ化して観る気もしないが、スポーツだけはテレビに限る。だがフジテレビのサッカー中継アナウンサーは余りに酷い。かつての古館伊知郎の自己陶酔系プロレス中継風を、細く甲高い声でやっている。テレビ映像を観ている側のそれぞれも考え、分析し、感動し、呼吸も整えつつテレビの前にいることを完全無視して、独り喋り没頭している。しかも「媚び」が入るから「虫唾」も走る。アナウンスは文章と同じで、スポーツ系アナは短文(ショートセンテンス)が相応しい。ハードボイルドの文体がいい。しかし彼奴は「あれがこうしてだからそうなってこうしたけれどこうなんですよね」とダラダラと喋り続ける。同僚や社員達は彼に注意、アドバイスをしないんだろうか。かくしてフジテレビのサッカー中継は「音量オフ」で観るにことになる。視聴者無視で自己中心アナ中継は、沖縄民意を完全無視して、自分たちの考えでだけで〝粛々とやる〟現内閣に似ていなくもない。

 脱線ついでに今のテレビは、おそらく芸能プロダクション頼みではなく局内スタッフのアイデアが冴える「テレビ東京」と、マイナー過ぎてアナーキーだったり、えらく洒落た番組があったりの「TOKYO MX」が面白い。放送法で縛られて反発する気概もなく体制のポチ化したテレビ(しかも最近の報道系番組のフリーアナウンサーはフィクサー系事務所の所属が多い)、芸人の舞台と化したテレビ、さらに通販CMに占拠されたテレビに辟易したら、書籍を含めた活字媒体に注目かつ奮闘を応援しに「さぁ、本屋に行こうっと」。


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