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永青文庫・春画展の違和感 [スケッチ・美術系]

eiseibunko1_1.jpg 新江戸川公園に自転車を止め、裏山から「永青文庫・春画展」へ。入口の行列は短かったが、中は大混雑だった。春画は女性に人気があるらしく、娘さんから年配女性が大半。カップル客も多く、概ね訳知り顔の女性が会話をリードしていた。

 高齢男性の二人組がいて、お一人は目がご不自由かしら、片方の老人がウヒッヒッと卑猥な感じで連れに説明している。「いいかね、腕の太さ程のマツタケがハマグリの前にニュッと突き出ていてなぁ、ハマグリから汁が滴っているんだ」。こんな調子で延々とやっているものだから、行列は全く動こうとしない。

 カップルのひそひそ会話や、高齢男性らの卑猥な会話が耳に入ってくるのも、押し合いへし合いしつつ展示ケースに顔を押付け合って観ているからだ。屏風に描かれた大春画もあるが、概ね手書きや版画で現物は小さく豆本もある。小生にとっては春画よりそれらに見入る人々の観察の方が断然面白かった。

 春画は「笑い絵」で「枕絵」。誰かが秘かに入手の春画を、仲間らと胸ときめかせつつも人の性の滑稽さを笑い合って愉しんだり、一人こっそり春情昂ぶらせて観るものだろう。だがここでは公衆が押し合いへし合って観る光景が展開で、妙な違和感を覚えた。

 日本人ならば浮世絵(春画を含んでの)の知識は当然だろう。大英博物館の春画展図録は1万余円で、この春画展図録はドカベン型のブ厚い小型版で4千円。まぁ、飛ぶように売れていたが、あたしは微塵も欲しいとは思わなかった。

 実は小生、河出書房新社刊の林美一+リチャード・レイン共同監修の「定本・浮世絵春画名品集成」(定価1600円)を池袋西口広場「古本市」で北斎2冊をはじめ計5冊を各500円で入手済。これはA4版見開き無修正の画集。五冊も観れば他は〝似たり寄ったり〟とわかる。この加熱気味・春画展を、えらく醒めた眼で見たあたしでした。

 カット絵は北斎春画一部を筆で早描き模写。昨夜のテレビ「藤田嗣治」特番を観ていて「あっ、藤田の面相筆が描く乳白色の女の手の線は北斎にそっくりだ」と気が付いた。


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