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擂粉木をきぬたに寺の秋牛蒡(悪玉踊り11) [北斎・広重・江漢他]

akudama121_1.jpg 今回の図は ♪チリチリチン~のシーン。その次に「鍋窯竈(なべかまへっつい)チリチツツン銅壺やかん擂鉢かツルツルツン擂粉木か~」と続く。再び北斎川柳(バレ句)を紹介。「擂粉木をきぬたに寺の秋牛蒡」。

 「きぬた」は布を台の上に載せ、棒で叩いて艶を出すこと。その叩き棒が擂粉木で、〝寺の秋牛蒡〟は坊主の逸物。固く黒光りってことらしい。(前回同様、参考は宿六心配著「北斎川柳」)。バレ句は「江戸の秘語・隠語事典」なくして意が汲み取れない。

 北斎の川柳(バレ句=性を笑う)を読んでいると、彼の〝わ印〟も本性と思えてくる。北斎艶本に書かれた林美一氏解説に<彼のほとんどの艶本は文化11~文政4年(1814~1821)制作で、文化11年『喜能會之故真通(きのえのこまつ)』のなかの、欧州でも話題騒然の「タコに犯される海女」がある>と記されていた。この「悪玉踊り」は同時期に描かれたものだとわかる。

 さてタコに関節はないが、今回は足の筋肉のお勉強。各筋肉と名称を図(クリックで拡大)に記入した。なお、膝関節を伸展する「中間広筋」は、その上に被さるように股関節を屈曲する「大腿直筋」があって直接触ることが出来ない。また〝大股開き〟をして股間(恥骨)から大腿部内側を経て内膝まで走っているのが薄筋(はっきん)。図に描けなかったので文章説明を加えた。

 江戸時代は、これら筋肉をどう言っていたのだろう。下腿三角筋は二つの腓腹筋とヒラメ筋で構成だが、普通はまとめて「ふくらはぎ」だろう。古語辞典には「こむら=腓」がある。出典元に「今昔物語」とあるから平安時代からあった名で、今も「腓(こむら)」が使われて「腓腹筋」。千年余も使い続けられた言葉だ。

 「臑・脛」も昔からの言葉で「臑当て」は大昔からの言葉。それで背中の「僧帽筋」なんてぇのも昔からあった名のようだが、これはキリスト教の聖職者が被る帽子〈フード)のことらしく、昔の名ではない。この辺の言葉調べも面白そう。


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