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江尻「花の旅駕をつらせてたゆたゆたと~」 [狂歌入東海道]

19ejiri1_1.jpg 第十九作目は「江尻」。狂歌は「花の旅駕をつらせてゆたゆたとうばか江尻に見ゆる児ばし」。「つらせて=連せて、連なって、行列して」。「ゆたゆたと=揺た揺たと、物がゆっくり揺れ動くさま」・巴川に架かる「稚児橋=児ばし」に掛けての「うば(姥、乳母)」。

 「稚児橋」は上方見附寄りゆえ、改めて興津宿から歩いてみる。江尻宿手前に「細井の松原跡」。江戸時代には立派な松並木があったそうだが、戦時中に松脂から燃料を採るってんで全伐採されたそうな。なんと哀れな歴史よ。

 ここから少し歩けば江戸見附(東木戸)があって「江尻宿」に入る。巴川に突き当たったら右折。そこが現・清水銀座で本陣跡などがある。等が。清水銀座が終わった所で左折して「稚児橋」。その先が上方見附(西木戸)で、府中宿へ向かう。

19ejiribun2_1.jpg 保永堂版は「江尻・三保遠望」。俯瞰図で江尻宿の甍の連なりの先に次郎長の清水港。湾の向こうが「三保の松原」で、遥か遠くに駿河湾が描かれている。ここより府中宿へ向かって歩き出すと「森の石松」を殺した都鳥の、次郎長一家に討たれた供養塔がある。

 狂歌入東海道の絵は、この辺りの街道風景だろうか。弥次喜多が詠んだ狂歌は「降くらし富士の根ぶとをうちすぎて江尻に雨の霽あがりたり」。最後が「霽(はれ)上がりたり」ゆえ上五「降くらし=降暗し」。「根ぶと=尻に出来る腫れもの=富士の裾野の山だろうか」。「霽(はれる、はらす)」は異体字。根ぶとの腫れと霽の地口洒落。十返舎一九は狂歌に熱中した時期があるに違いなく、いづれ彼の履歴も調べたい。。


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