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白須賀「人真似に我も喰わなん白須賀の~」 [狂歌入東海道]

33sirasuka_1.jpg 四編の最初は、第三十三作目「白須賀」。絵は「汐見阪ノ図」で汐見阪より遠州灘を望む。狂歌は「人真似に我も喰わなん白須賀のさるが馬場のこのかしわ餅」。

 立場(茶屋)の地名が「猿が馬場」。ここの名物が柏餅で、それ詠っている。弥次喜多らは「荒井宿」の外れから駕籠に乗った。すぐ右に高師山が見え、左に昔の橋本の宿跡。ここで弥次さんの一首。「鳶がうむ高師(たかし)の山の冬はさぞ真白に見違やせん」。〝鳶が鷹を産む〟から「鳶がうむ高師山」。

 そのうちに二川(宿)の駕籠とすれ違って、駕籠を乗り換える(駕籠同士が料金交渉して客の駕籠乗り換えをしたらしい)。やがて駕籠は「白須賀宿」へ。駕籠の中から茶屋の客寄女を見て~

33sirasukauta2_1.jpg「出女の顔のくろきも名にめでゝ七なんかくす白すかの宿」。出女(客寄せの女)の黒い顔も、白須賀の白で七難隠してよい女に見える、と詠っている。白須賀宿をでれば、この絵の「汐見阪」。

「風景に愛嬌ありてしをらしや女が目もとの汐見阪には」。「しをらしい=優美だ、上品だ」。「しを=しほ=しぼ=皺=笑顔皺=目もと」だろう。

 喜多さんは前述の乗り換え駕籠ん中で銭を拾った。気前よく駕籠屋に酒をおごったが、その銭は駕籠屋が置いた銭だとわかって、おごり賃を自らの財布から払うハメにあって一首~

「ひろふたとおもひし銭が猿が餅右からひだりの酒にとられた」。絵と同じく〝猿が馬場〟の狂歌。漢字で書けば「拾ふたと思ひし銭は猿が餅(猿が馬場の名物・柏餅を縮めて)右(甘党)から左の酒に取られた」。駕籠のなかで長閑に狂歌に興じているうちに「二川宿」手前の境川に至る。


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松尾 守也

(翻刻) : 人真似に 我も喰わなん 白須賀の さるが馬場の このかしわ餅
(原文) : 
(読み) : 人真似に 我も喰ハなん 白須賀の さるが馬場の このかしハ餅  勢園川 雛昌
(注)掛詞: 人真似に 我も喰わなん 白須賀の 猿ヶ馬場の この柏餅  勢園川 雛昌
(注)対句: 人真似・猿(真似)。 人・猿・馬
(注)縁語: 人・猿・馬
by 松尾 守也 (2017-02-02 20:43) 

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