SSブログ

方丈記25:独り気儘の自由 [鶉衣・方丈記他]

imaisyoku_1.jpg 今、一身を分ちて、二の用をなす。手のやつこ、足の乗物(手は召使、足は乗物)よくわが心にかなへり(適へり)。こころ又身のくるしみを知れらば、くるしむ時はやすめつ(つ=完了の助動詞)、まめなる(やる気のある)時はつかふ。つかふとても、たびたび過さず(無理せず)。ものうしとても、心をうごかつ事なし。いかに況や、つねにありき(歩き)、常に動くはこれ養生成べし。何ぞいたづらにやすみをらん(休んでいられようか)。人を苦しめ、人を悩ますは又罪業也。いかが(反語。どうして~あろうか)他の力をかるべき。

 鴨長明、いよいよ解脱の領域です。前項までが〝住宅論〟ならば、今度は〝身体論〟から〝物質・食糧論〟へ。

 衣食のたぐひ、又おなじ。藤の衣(藤や蔦などの皮で作った衣服)、麻のふすま(夜具)、うるに(得るに)したかひて、はだ(肌)人をかくし、野辺のつばな(茅花、ちばな、ちがや)、峯のこのみ(木の実)、命をつぐばかり也。人にまじはらざれば、姿を恥る悔もなし。かてともし(糧乏し)ければ、をろそかなれとも程味をあまくす(自分のおろそかの結果と思えば程甘んじる)。すべてかやうの事たのしく、富る人に対していふにはあらず。ただ我身一にとりて、昔と今とをたくらぶる(た=接頭語+較ぶる)也。

コメント(0) 

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。