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方丈記28:その後の鴨長明 [鶉衣・方丈記他]

edohoujyouki_1.jpg 鴨長明は建暦2年(1212)3月末、60歳で『方丈記』を著わした翌年に、鎌倉へ旅立っています。源頼朝の次男・実朝が12歳で征夷大将軍になり、藤原定家から和歌を学んだ。京の諸知識を教える人として長明に白羽の矢が立ったとか。

 「閑居にこだわるのも、また執着ではないか」。そう自戒しつつも、余命僅かと自覚しての鎌倉行。ゆえに実朝に仕える欲もなく、修行のつもりの旅。途中で大洪水にも遭ったりして、西行を意識しつつの旅だったのでは、と五味文彦は記しています。1200年代の鎌倉の記録を見ると、毎年のように大きな地震に襲われています。長明の人生は最初から最後まで災害と共に生きたようでもあります。帰郷後に『発心集』約百話を編集し、『方丈記』から4年後の健保4年(1216)64歳で死去。

<『方丈記』シリーズを終えて> 原本は「国会図書館デジタルコレクション」公開の明暦4年刊、山岡元隣『鴨長明方丈記』(長谷川市良兵衛開版)。くずし字の練習が主目的でしたので、深く読み切れていません。まして古文、和歌に疎く、解釈も不十分です。勉強不足や間違いは、随時追記訂正したく思っています。現代語訳は控えました。机上には「古語辞典」「俳句で楽しく文語文法」「旧かなと親しむ」がありますが、調べっ放しで完全に覚えるには至っていません。調べ知った言葉は、受験生のように「暗記カード」でも使って覚えきろうかとも思っています。

<筆写とくずし字について> 現在市販中の東京堂出版の児玉幸多編『くずし字解読辞典』ではなく、古本市で入手の近藤出版刊、児玉幸多編『漢字くずし字辞典』(近藤出版の使い易さについてはブログで報告済)が、今回の『方丈記』筆写ですっかり手に馴染みました。索引から数度で該当頁にピタリと辿り着く〝技〟が身につきました。

 老いて、新聞の頁も指先を舐めナメなのに、同辞書の紙質とも相性が良かったようです。検索から筆順調べなどの没投感も実に心地よく、時間を忘れるようでした。筆写は、多分に写経に似ているようにも思いました。

 30代からのワープロ、パソコン人生を経ての〝手書く〟復活。万年筆LAMYサファリ色違い4本。水彩筆も持ち始めました。筆写も筆ペンから習字筆へ。骨董市で入手の古硯も愛用で愉しかったです。

<参考書> 岩波文庫『方丈記』(市古貞次校注)、新潮社日本古典集成『方丈記・発心集』(三木紀人校注)、五味文彦著『鴨長明伝』(山川出版社)、笠間文庫『方丈記』(浅見和彦訳・注)、吉川幸太郎『論語』(朝日選書)、北村優季著『平安京の災害史』(吉川弘文館)、日本古典文学大系『方丈記 徒然草』(西尾實校注)、同『平安物語』(上下巻)、玄侑宗久著『無常という力』、久保田淳訳注『新古今和歌集』(角川ソフィア文庫)、杉本秀太郎著『平家物語』(講談社学術文庫)他。

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