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『スモール イズ ビューティフル』第三部 [政経お勉強]

sayugyakuhan.jpg 「開発」について。途上国は概ね「二重経済」になっていると指摘。開発されるのは約15%の都市部近代化(工場)。残り85%は開発とは無縁の農村・小都市。その結果、都市への「大量移住と大量失業」が生まれる(ウム、中国ニュースでよく見る現象だな)。

 この「開発の弊害」を生まぬためには「開発=モノ」と考えず「人間の教育、組織、規律」から考えるべきだろう~と指摘する。「貧困主因=教育・組織・規律の欠如」だからで、それら三つを段階的に進化させて行くのが真の開発政策ではないか~と説く。粗野な唯物主義者による開発は「大量移住・大量失業」を生み、開発の妨げにもなる「二重経済」を止めて、都市と農村を含む国民全体を巻き込んだ真の開発政策が必要ではないかと説く。

 第二章は「中間技術の開発を必要とする社会・経済問題」。第三章は「200万の農村」。ここでは貧しい人はさらに貧しくなり、豊かな人はさらに豊かになる問題が分析されている。だがそこで問題とされているのは1970年代のこと。同章を読んでいると、小生はアフガニスタンで銃殺された中村哲医師による砂漠を緑地・農地化した灌漑・農業支援を活動を想起した。

 だが現代の格差問題は当時と大きく違っている。電子金融空間=キャピタルゲイン+金融のグロバリゼーションによる資本主義構造変化によって、さらに激しい格差拡大が起っている。著者の時代と、現代社会が抱える問題との時代的ズレを感じざるを得ない。

 またインドの諸問題も指摘だが、現在のインドは「IT企業」が発展し、多数のデジタル系優秀人材も輩出。「高学歴技術=知的経済」が力強く推進されている。さらにはこの書の著者「シューマッハー」とガンジー思想を受け継いで「スモール・スクール」(1982年設立)や「シューマッハー・カレッジ」(1991年設立)を創設し、エコロジー&スピリチュアル雑誌「リサージェンス(再生)」編集長のサティシュ・クマールも世界各国で核兵器放棄などを説くなど活躍中。また中国への言及も、現在は大きく様変わりして新たな問題が出ていて、同書のお勉強は最終部「組織と所有権」を含めて、この辺で区切りとしたい。

 次はウォシュレット普及で言及した水野和夫著『資本主義の終焉と歴史の危機』で現在経済のお勉強に移りたく思います。写真は意図的に同書表紙の「色変換+左右逆版」~。

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