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関口芭蕉庵(江戸) [くずし字入門]

basyoan5_1.jpg 絵は『絵本江戸土産』(広重)の「関口上水端・芭蕉庵・椿山」。くずし字初心者ゆえ、よろこんで解読してみた。

 

 関口といふハこの書前の編に図(づ)したる。井の頭の池より東都へひく上水の別れ口にて、一ハ上水に入り、餘水ハ江戸川へ落る。本叓(ほんじ)堰口に作るべし。させる風景の地ならずといへども、水に望を曠野に望みて只管(ひたすら)閑雅の地なりにより、俳諧者流この菴を作り、会合して風流に遊ぶ。

 

 「餘(予)水」「本叓(事)」が旧字のくずし字、「遊」はしんにゅう省略のくずし字で手こずった。ここから少し辞書の話。「俳諧者流」の「者流(しゃりゅう)」は手元の数千円の国語辞典、漢和辞典になしも、ネット辞書で「名詞に付いて、接尾語的に用い、その種類の者であること表す。その仲間、その連中の意」。ゆえに「俳諧者流」は、俳諧の仲間、連中。試みに本棚奥から分厚い「広辞苑」を出せば…[接尾]たぐい、仲間に属する者たち」。同じくシャープの電子辞書は「大辞林」搭載でほぼ同じような説明が載っていた。ネット辞書は概ね「大辞泉」。「広辞苑」「大辞林」とほぼ同レベル辞書で26万語。

 

 辞書をひいたのは他に二つ。「させる風景の」の「させる=然(さ)せる」なり。後に打ち消しの語を伴って「とりたてていうほどの。さほどの。さしたる」。「させる風景の地ならずといへども=それ程の景色じゃないけれども」だろう。もう一つが「本叓」の「叓=事の古字」。それがさらに崩れ「古+又」。そこからのくずし字らしい。

 

 ここまで読んだが、初心者ゆえ間違いがあるやもしれぬ。この歳になっても日本語なのにわからないことばっかり。死ぬまでに満足に読めるようになれましょうか。

 

jyousuiisibasira_1.jpg さて絵を見ると神田川、駒塚橋、目白台からの斜面に芭蕉庵が描かれている。また広重は安政四年の「名所江戸百景」に「せき口上水端はせを庵椿やま」も描いている。「江戸切絵図」では芭蕉庵斜面向こうにちゃんと?胸突坂、水神社が記されていて、今も江戸後期の姿が残されているのがうれしい。絵図には橋の下流が池(ダム)状になり、関口の関より上水へ、江戸川へと別れているのがよくわかる。これは「江戸名所図会」に「目白下大洗堰」で描かれている。写真下は昭和8年に大洗堰廃止で撤去された上水取入口の石柱を再現保存した現史跡。次に明治30年頃に山本松谷が遺した「目白台下駒塚橋の景」を見てみる。


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