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重長版「両国橋納涼」(私流メモ3) [くずし字入門]

ryougokubun4_1.jpg タイトル「納涼」は(どうれう)。旧かなは(なふりやう)。古語で(どうれう)か。「友どち」の「どち」は仲間、連れ。男どち、思うどち。似た言葉で「友垣」「輩(ともがら)」。「名にしあふ」は「名にし負ふ」。~という言葉を持っているのだからの意。「茶店(さてん)」は江戸時代からの言葉。「映(えい)じて」の「て」は帝のくずし字。「洛陽の四条河原の涼もこれには過じと覚べし」の「じ」は打消し推量。~これほどではないと覚えるべきだろう。いやはや、大江戸は京都に対抗意識丸出し。

 かつてキャンペーン仕事で、鴨川沿いの夏は納涼床を出す幕末の頃の料亭建物で食事をしたことがある。そんな歴史ある店が並んで、外は鴨川の河原。比して隅田川は垂直堤防内に僅かな遊歩道。残念ながら京都には敵わない。

 以下、釈文。九夏三伏の暑さ凌がたき日。夕暮より友どち誘引して。名にしあふ隅田川の下流浅草川に渡したる。両国橋のもとに至れば。東西の岸。茶店のともし火。水に映じて。白昼のごとく。打わたす橋の上にわ。老若男女うち交りて。袖をつらねて行かふ風情。洛陽の四条河原の涼もこれには過じと覚べし。橋の下には屋形船の歌舞遊宴をなし。踊物真似役者声音。浄瑠璃世界とハ是なるべし。或は花火を上ケ。流星の空に飛はさながら。蛍火のごとく涼しく。やんややんやの誉声は。河波に響きておびたゝし。此橋は往時万治年中初めて。懸させたまひ。武蔵下総の境なるよし。俗にしたがひ給ひて。両国橋と号たまふとかや

ryougokunisi1_1.jpg 夏前に神田川沿いに下って両国橋まで自転車で走ったが、その時は橋の改修中だった。今は補強+きれいに仕上がっただろうか。なお江戸時代は今よりちょっと上流に架かっていたらしい。そう、両国橋を渡った回向院に「山東京伝」の墓あり。京伝の「黄表紙」はひらがな中心だから、いろはのくずし字を覚えただけで読める。

 筆写は漢字の書き順、くずし方を辞書で調べてから一気書き。これ、書き直しなしの一発仕上げ。くずし字を覚える+書く楽しさ+知らぬ日本語を知る歓び。かかぁが言った。「おまいさんの隠居道楽は一銭もかからないねぇ」。金がねぇから、こんなことで遊ぶ他ねぇんだ。


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