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鼕々と読めて聴こえる滝の音 [くずし字入門]

otonasitaki_1.jpg 広重『絵本江戸土産』を見ていたら、涼しげな「音無川の堰世俗大滝と唱」に眼が止まった。絵の説明文を読んだ。…金輪寺の下の堰より落(おつ)るを大滝といふ 是より水上所々に巌(いハほ)ありて 水これが為に〇々たり 然(しか)るに井堰の上ハ水平(たひ)らにて更に声なし 因(よつ)て音無の名を負へりとぞ

 

この〇〇がわからず、悶々とした。ネット検索すると「琴々たり」と記しているサイトがヒットしたが、「琴々」なる言葉はない。ふりがなは、どう読んでも「ことこと」ではなく「たうたう」。では「蕩々」「滔々」かと思ったが、くずし字は当たらぬ。

 

「おまいさん、なんで唸ってんだい」とかかぁが言う。前にも記したがクロスワードと同じで、分らぬ字があれば、わかるまで悶々とする。こんな時は数日放っとけば、後に膝打つ感でわかったりする。

 

で、わかったんです。このくずし字の冠は「鼓」ではないかと。「鼓」をくずし字解読辞典をひけば、該当する。今度は漢字辞典で「鼓」をひくと、「鼕(トウ)」があった。「鼕鼕(トウトウ)」があって、思わず「やったぁ~」。次にネット辞書。

鼕鼕=とうとう、トウトウ、タフタフ。鼓や太鼓の鳴り響くさま。水や波の音の響くさま。鏜鏜、鞳鞳。電子辞書にも「とうとう」で六つの漢字熟語の四番目にあり。これで文の意もようやくにして納得。ここで反省した。解読できぬくずし字は偏(へん)旁(つくり)冠(かんむり)脚(あし)構(かまえ)垂(たれ)繞(にょう)から推測すること。冠が「鼓」で、脚は「冬』で「鼕」なり


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