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再び広重vs雪旦(鬼子母神) [くずし字入門]

zousigaya7_1.jpg 前回記した理由で『絵本江戸土産』五編は断念。「東洋文庫ライブラリー」の四編に戻って、なじみの地の絵をお勉強と、まずは「雑司ヶ谷鬼子母神法明寺」(写真上)を読んでみた。

 この神出現の地ハ護国寺より坤(ひつじさる=南西)にあたり精土(文京区目白台)といへる所の叢(くさむら)尓(に)小(ちひ)さ起(き)祠ありて始めその処に祀(まつ)れりとぞ この神霊厳新(あらた)なる中に〇童を守かなふ 故尓(ゆえに)乳(ち)な起(き)婦人こゝ尓祈里(いのり)てことごとく霊應あり 毎年十月会式のとき殊(とく)尓褥ふ別当大行院 これを護持須(す)

 「〇児」と「褥ふ」の漢字と読みがわからなかった。くしゃみでもした際にハタと思い付くかもしれない。試みにネットで『江戸名所図会』の「雑司ヶ谷鬼子母神堂」を見た。ムムッ、其角句と説明文あり。苦労して読んだが苛立った。これは東洋文庫と同じく共にネット画像の粗さが、文字判読には粗すぎるってことなんです。

zousigaya1_1.jpg で、ついに図書館に走ちゃったんです。『原寸復刻 江戸名所圖會』(上・中・下)。まぁ、8㎏もありましょうか。あたしの14㌅折り畳み自転車とほぼ同じ重さです。重さに耐えつつ家まで運びました。えぇ、原寸なら、まぁ苦労せず読めるんですね。

 其角句は「山里ハ人をあられの花見かな」 文章は「門前両側に酒肉店(りやうりや)多し 飴をもて此地の産とし川口屋と称(しやう)するも能(の)本元と須(す) 其屋号を称(とな)ふるもの今多し」

 また『原寸復刻 江戸名所圖會』の絵を見たことで、『絵本江戸土産』の絵が、どの位置から何をどう描いたかもわかった。雪旦の絵の右上は「法明寺」で、その山門が「仁王門(二王門)」。広重の絵は、この山門から両脇に広がる田圃の中の参道をへて鬼子母神堂を描いているんですね。かくして改めて長谷川雪旦の丁寧で正確な描写に感心。斉藤月岑の文章を併せて、此の地の記述と絵(会式の賑わい、麦藁細工の店)は実に12頁にも及んでいた。まさに地誌。その真摯な制作姿勢に思わず襟を正してしまった。写真下は現在の鬼子母神堂と川口屋。

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