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出合茶や慾と浄土の荷葉揺れ [くずし字入門]

sinobazunoikebunn_1.jpgm_nokorihasu_1_1[1].jpg 重長版『絵本江戸土産』中巻は「上野春景」から「不忍池蓮」へ。「池中の荷葉。水上に満て。水色見へず」と書かれている。絵は弁財天と蓮の池、そして出合茶屋が描かれている。時代小説を読むと、この出合茶屋(蓮見茶屋)での密通・不倫場面がよく出てくる。愛欲の場。今ならラブホテルか。

 

その愛欲の窓に「上品蓮臺(じょうぼんれんだい)=極楽上級所」の蓮池が広がっている。愛欲に溺れた者は、極楽浄土どころか苦悶・地獄が待っている。かくして一句「出合茶や慾と浄土の荷葉揺れ」。「荷葉」は蓮の葉。永井荷風は十代の頃の入院生活で看護婦・お蓮さんに恋して、「荷風」を雅号にした。駄句をもう一句。「不忍の荷風の恋や荷葉揺れ」

 

釈文は…。洛陽の比叡のふ(婦人の「ふ」がのたうったような字)もと。湖水に表(「ひょう」と読みたいが古語読みは「へう」)して中に嶋を築き。弁財天を安置す。池中の荷葉(かよう)。水上に満て。水色見へず。紅白の蓮華ハ。こま(満のま)やかに地上に秀て。まことに上品連臺も。かくやとあや(屋台の「や」)しまる。もと(登山の「と」)ハ舟にてかよひしよし。今は陸地つづけ(遣唐使の「け」)り。此ごろハうらに。あらたに橋をわたして(亭の「て」)。根津湯島の通路よし。参詣男女。むかしに十倍せり


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