SSブログ

内調(5)今井良著『内閣情報調査室』を読む前に [政経お勉強]

keisicyo_1.jpg 次に今年5月30日出版の今井良著『内閣情報調査室~公安警察、公安調査庁との三つ巴の闘い』(幻冬舎新書)を読む。今井良とは? 同著に「NHKで報道番組に10年間携わった後、民放テレビ局で警視庁キャップ、ニュースデスクなどを歴任」とあり。

 映画「新聞記者」サイトに氏の「権力に仕えた人間が、権力に抗う。内閣情報調査室が持つ果てしない大きな力とスケールをこの映画で見事に描ききっている」の推薦文。民放は何局にいたや。ペンネームと推測した。

 まず本文冒頭「千代田区永田町の〝総理府ビル〟4階の~」なる書き出し。同ビル名でネット検索もヒットなし。「内調」が入るのは「内閣府庁舎(通称「本庁ビル)」だろう。

 そして「内閣情報調査室は日本国のためのスパイ活動を行うれっきとした情報機関である。~ライバルとも云える2つの機関〝公安警察〟と〝公安調査庁〟」の説明後に「公安警察は全国でおよそ10万人の公安警察官で組織され~、公安警察を指揮するのは警察庁警備局。内調には警視庁公安部から出向している公安警察(ノンキャリア)が数多く存在する~」

 この文章にも混乱させられた。「公安警察官は全国で約10万人」は、どう積算されての数字だろうか。「警察庁公安」の説明が、いきなり「〝警視庁〟公安部」になっている。著者は「警視庁キャップ」経歴ゆえ間違いはなかろうが、警察に疎い小生は戸惑う。文章配慮が足りないな。これは鵜呑み要注意と、まず自分で各オフィシャルサイトなどでお勉強することにした。

koancyosa_1.jpg <公安警察とは> 警察庁と都道府県警察の公安部門を指す俗称。「警察庁警備局」を頂点に「警視庁公安部」「各都道府県警察本部警備部」「所轄警察署警備課」で組織。

 <警察庁警備局の公安> 行政機関「国家公安委員会」が内閣府の外局「警察庁」を管理。職員約8,000名。一般職員4,843名、警察官2,200名、皇居護衛官922名。警察庁の内部部局に「警備局~警備企画課~公安課、警備運用部、外事情報部」。地方機関として全国6管区警察局を設置。都道府県警察は各知事の所轄下にあるも、都道府県公安員会の管理下にある。警察庁長官狙撃事件は未解決。

 <警視庁の公安> 皇居桜田門前の建物が「警視庁」。東京都を所轄の警察組織。職員約4万6千名ほど。公安捜査官は1,100名。筆頭が公安総務課(第1~第5公安捜査は反戦デモや左翼政治団体対応)、そして公安第1~4課(労働紛争争議、極左情報、日本赤軍、過激派の情報収集、右翼情報など)、外事第1~3課、そして公安機動捜査隊(学生運動からオウム真理教、そして今は爆弾テロを担当)。司令塔は警視庁警備局。

 <法務省外局・公安調査庁> 昭和27年(1952)の破防法執行と同時に法務省の外局として発足(「内調」発足と同年)。検察官出身者が幹部。職員1,650名。そのなかの公安調査官が調査業務に従事。本庁以下、全国8ヶ所に公安調査局、14カ所に公安調査事務所。本丸は総務部で「工作推進室」で人的情報(ヒューミント)で潜入など。調査第1部が国内の極左集団、調査第2部が国外情報担当。しかし破防法適用例は未だなし。幹部以外の職員名は秘密。「内調」への出向多数。目下は五輪テロ対策など。2019年予算は150億円ほど。

 ●全国公安警察官の1/3以上は、警察庁警備局・警備企画課の情報第二担当理事官(キャップ)が総括する中央指揮命令センターの指揮下になる。完全秘匿(氏名も抹消)の存在ゆえ通称ZERO。この程度の知識を得てから、今井著を読んでみる。

 写真上は桜田門前の「警視庁」。その奥の建物が「中央合同庁舎第2号館」で正門右に「総務省」、左に「国家公安員会/警察庁」の看板。写真下が赤レンガ・法務省旧本館の裏の高層ビル「中央合同庁舎6号館」に「法務省」と「公安調査庁」が置かれている。

コメント(0) 

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。