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北斎の描く手の艶あやし春 [北斎・広重・江漢他]

hokusaite3_1.jpg 絵を描こうと思わなかった一昨年の秋、暇にあかせて筆ペンで「手」を描いたことがある。改めて「手」を描いてみた。漫画家は数千・数万と手を描く訓練を経て、漫画原稿を書く時は実際の手を見ることなくスラスラと描くんだろうな。

 あたしのように20回ほどしか手を描いただけでは、お話にもならぬ。だが浮世絵の手の模写を数回した後で、藤田嗣治の乳白色の裸体画を見た時に「あっ、浮世絵の手だ」と気が付いた。ってことは数回でもやらないより、やった方がいい。

 画狂人が描く女の手を模写した。さすが北斎。その手の艶っぽさよ。だが彼だけではなく、浮世絵の美人画の多くが同じように描かれていた。ポイントは小指球(しょうしきゅう)、母指球(ぼしきゅう)、指腹部、甲をふっくらと描くことで、女っぽい柔らかさ、艶っぽさを表わしていた。

 ついでに手の構造・部位名もお勉強。先日の鳥の絵の際に勉強した「尺骨・撓骨」も登場。さらに技法的試みもした。水彩の白を塗った地に「墨+面相筆」は艶やかな質感が出た。水彩紙に直に「墨+面相筆」は墨が掠れ気味で枯れた感じ。耐水性ボールペンはスラスラと描けて、やはり便利だなぁと思った。だが鉛筆あたりを消そうと消しゴムをあてたら、インクが擦れた。そしてプラチナ・カーボンインクを入れた万年筆で描いたら、その直後に消しゴムを強く擦っても黒インクはビクともしなかった。

 これで我が生涯「手」を3~40回ほど描いたことになる。数千・数万の域には到底辿り着けない。死ぬまで隠居の〝手慰み〟です。


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