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ケネデイのひいた芭蕉の道祖神 [くずし字入門]

dousosin1_1.jpg 故ケネディ大統領の長女、キャロライン・ケネディ氏が駐日大使として来日した。ワシントンの日本大使館での就任歓迎レセプションで、氏は来日を心待ちにする心境を芭蕉『おくのほそ道』冒頭の「道祖神のまねきにあひて取もの手につかず~」を引用したそうな。

 

 『おくのほそ道』全句を辿ったことがあるも、その箇所は頭に残っていなかった。日本人なのに、これは恥ずかしや、と改めてひもといた。冒頭は有名な「月日は百代(はくたい=ひゃくだい)の過客(くわかく=かきゃく=かかく)にして、行(ゆき)かふ年も又旅人也~」。引用された「道祖神」は、その冒頭より五、六行後に出てくる。

 

アメリカのケネディさんが芭蕉をひくなら、日本人のあたしは、せめて江戸当時の字(くずし字)を書き起こすほどのことはしたい。手許の書は新字の読み下し文(萩原恭男校注の岩波文庫)で、ここから私流くずし字で書き起こす。

 

原文は芭蕉草稿を曾良が筆写し、素龍が浄書とか。原文を読む“くずし字参考本”があって、容易に原文を眼にできようが、ここは自己流がミソ。そう云えば、現代文からくずし字を書き起こすは初体験なり。さて、素龍がどんな字を書いたか想像も出来ぬが、やってみましょう。

 

 読み下しは…やゝ年の暮、春立(たて)る霞の空に、白川の関こえんと、そゞろ神の物につきて心をくるはせ、道祖神のまねきにあひて取もの手につかず、もヽ引の破(やぶれ)をつゞり、笠の緒付(つけ)かえて、三里に灸すゆるより、松島の月先(まず)心にかゝりて、住(すめ)む方は人に譲り、杉風が別墅(べつしょ)に移るに …そして第一句、草の戸も住替(すみかは)る代(よ)ひなの家

 くずし方は多彩変化。後で原文と私流くずし字を比べて、恥をかいてみましょう。


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