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飯桐や冬の予告の赤が冴え [散歩日和]

iigiri3_1.jpg「浦島草」の赤き実、黄金色の銀杏、続くは落葉高木「イイギリ」の赤い実。飯桐の名は、その大きな葉で飯飯を包んだことから。「短歌俳句植物辞典」をひくが、外来種じゃなかろうに不載なり。ならば同じ落葉高木の桐をひけば「桐の花」「桐の実」「桐一葉(ひとは)」「桐の花」はある。

 

だが桐はゴマノハグサ科で、飯桐はイイギリ科。イイギリの葉はハート型・葵型で別名「アオイノキ」。一方、桐はホームベース型で毛が生えているゆえに飯は包めぬ。イイギリは赤い実だが、桐は大きな黄色の涙型。茶色に熟し実が割れ、中の実が風に散る。

 

さらに調べてみる。イイギリは別名「アオイノキ」の他に、赤い実が似て「ナンテンギリ」、桐に比して腐りやすく「イヌギリ」、古名「ケラノキ」など。それら別名で「俳句短歌辞典」をひくが、やはり不載。おそらく有名俳人によるイイギリの句がないのだろう。他の季語辞典には「飯桐の実」があるそうだが句例なし。

  イイギリの紅い実は渋いとかで、野鳥は目もくれぬ。やがて周囲の樹々が葉も実も落ちて冬木立の景色へ。ここでやっと赤い実は熟し、それまで見向きもしなかったヒヨドリ、オナガらが「これ以外に喰う実なし」とシブシブの呈で啄み始める。そんな光景が展開され始めると今年も終わりです。


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小判色銀杏並木も散りぬるを [新宿発ポタリング]

icyou2_1.jpg 伊豆大島のボロロッジが、あの台風26号で破壊されていないかを確かめに島に渡った。数日の滞在。少しは庭仕事をしたが、島は車社会のドア・ツー・ドア。足が萎えたんで久し振りに東京で自転車に乗った。

 

新宿御苑沿いに外苑西通りを右折。慶應病院横の橋(歩道橋)を渡って、「長崎ちゃんぽんの水明亭」脇から銀杏並木を走った。青山通りを横断して、青山墓地の真ん中道を走る。明治維新の外人墓地を抜けて西麻布二丁目へ。猪瀬直樹事務所前に警官が立ってい、自転車で前を走れば、なぜか「御苦労さま」と挨拶された。ここから青山のファッション街を抜け、表参道から明治通りで新宿へ帰還。このコース、ちょっとお気に入り。

 

あたしのブログは目下、今年1月に記した猪瀬直樹『ミカドの肖像』検証シリーズ(全25回)にアクセスが多いが、ここでは「銀杏並木」で駄句。眼にも鮮やかな小判色に色づいたが散るは一瞬。「あぶく銭は身につかず」と詠んだ。猪瀬直樹の金銭欲、出世欲、名誉欲(本田靖春遺作『我、拗ね者として生涯を閉ず』に記された忠告)で得たものも「散りぬるを」となりましょうか。


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燃ゆる実の浦島草の健気かな [週末大島暮し]

urasimasou1_1.jpg 桜は葉を落とし、その枝先に早くも固い蕾を宿らせている。一方、この赤き実は大島ロッジ裏で暗紫色の仏炎苞(<島暮し>にアップ済)で群生していた「浦島草」の実。サトイモ科テンナンショウ属の宿根性・多年草。

 

「浦島草」は仏包苞の形に加え、仕組みもまた実にユニーク。まずは小型個体が雄性で、大型になると雌性へ「性転換」する。花粉媒体は「キノコバエ」。雄性個体の仏炎苞にもぐり込んだハエは、花粉を付けて苞下から出る。次に雌性個体の雌蕊に受粉だが、雌個体は閉じ込め構造で脱出不能。かくして結実し、写真のように赤く熟す。毒があるそうな。鳥が啄むか、朽ちた地で新たな世代へ継ぐ。

 

花言葉は日陰系植物っぽく、どこか不穏な「不在の友を思う」「注意を怠るな」。この赤き実は、島のロッジ裏で見たゆえに、近所の不在別荘主を思う。「あの別荘主は大島よりバリ島に入れあげている」「豪華別荘なれど事業失敗で競売物件へ」「こっちの別荘主は両親介護中か」と。別荘なんぞは家主諸事情で不在、放棄の危うき存在。

 

さらには浦島草は日陰の藪に自生で「注意を怠れば」蛇も出てこよう。目立たぬ存在ながら、この燃ゆる実は「どっこい生きているゾ」と逞しくメッセージしているようです。国内外共に「注意を怠るな」の警告鳴りっ放し。東京都では某が卑しき正体曝け出し。


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消し炭や身あがりさせて女抱き [くずし字入門]

sinjyu3_1.jpg昨日の続…。「あげくにハ、ふちにはなれしはぬけ鳥、手ぶりあミがさ一かいにてすごすご柏木がもとに来り」。「ふち=扶持=俸禄」に離れて「はぬけ鳥=羽抜け鳥」。羽が抜けてみじめで滑稽な姿。野鳥の夏羽から冬羽にの換羽時期で、季は夏。「手ぶりあミがさ=手振り編み笠=編笠以外は何も持っていないこと、無一文」。「一かい=一介=ひとり、何者でもない」。

 

そんな身ですごすごと遊女のもとに通ってはいけません。そこで「さらしな」は…「おなじとちのひき手茶やへけしすミみすみこんでも、とかくにかよふ恋のやミ、爰にも一ト月すむやすまず、よし原の元地へ遊女やの若ひ者に住込しが、爰にも長くしりがすハらず、あけてもくれてもかよひつめ」。

 

「けしすミ=花街の男の奉公人」。吉原なら風呂番、引手茶屋なら雑用兼ポン引きか。斎藤緑雨は樋口一葉が女性ながら「消し炭」なる言葉を知っているとは、なんとも凄いと盛んに感心していたと、どこかに書いていたそうな。扶持なしの羽抜け鳥になった男が日々通ってくれば、遊女も窮する。

 

「たがひにかしわ木も日夜の身あがりにつむりの物まで入あげて今ハ借金に首もまハらず、ないしょの手まへもめんぼくなく、つまらぬどうしのくされゑん」。「身あがり=身上がり、身揚がり=遊女が自分で抱え主に揚げ代を払うこと。金のない情夫の相手をする場合が多い」。「つむりの物=髪の物=簪(かんざし)、櫛、笄(こうがい=結髪用具)など、高価な装飾品もあり」。こうなれば、もう共倒れ。

 

「いつそしんだら、此くるしミをのがれてめいどで夫婦になる事もあらんといゝ合、人目のせきと年の関をやうやうこして元日のめでたき中に心中の死ぞめするぞはかまけれ」。「人目のせき(関)=関所のように人を容易に通さない意から、人目がはばかられ思うままにできないこと」。江戸時代は月〆、年〆ツケゆえに大晦日は大忙し。静かになっら元旦に心中をしたとか。

 最期に「かきおきのすゑに二首のうたあり」で「門まつのめいどのしるし目あてにて死出のたびぢへいそぐ元旦」と「川たけの苦がいの淵を浮ミ出てならくのそこに身をバうづめん」

 羽抜鳥・消し炭・手振り編み笠 身あがり・つむりの物…こんな言葉を覚えても何にもならねぇんだが…。メモ:下五「女抱く」とすれば終止形で二段切れ。


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元旦にひよくれんりのなれのはて [くずし字入門]

sinjyuu2_1.jpg 前述の『かわら版』に<元旦心中の次第>あり。知らぬ言葉が多いゆえ、これまた筆写・勉強した。まずは他の多くの「かわら版」同様に格言からの書き出し。「およそ世の中に男女のミちほど遠くてちかく、ふミまよふものハなし」。そして本題へ。

 

 「こゝに浅草広小路に大杉屋といへる遊女やのかゝえ柏木といふ女郎あり、ことしあけて三十一さい、さかりハすこしすぎたれど、きれいこつがら、心だてまで仲の丁ばりのおいらんといへどもおよびなきほどなしが」。

 

浅草広小路は江戸岡場所のひとつ。「こつがら=骨柄=人柄」。「仲」は吉原だろう。「丁ばり」とは? 遊女が格子内で並んでお披露目するのを「張り見世」「見世を張る」。「丁=町」か。吉原・五町を代表する「張り」とでもいう意だろうか。まぁ、器量・人柄を併せての最大級の賛辞。

 

 「いかなる前世のあくゑんにや、去年七月ごろより大久保様の御家中にさらしなといふさむらい、ひとなれなじミ、ひよくれんりのはなれぬ中となりゆくまゝに」。…「ひとなれなじミ=人慣れ馴染み」。繰り返しの強調表現。下世話に云えば「肌がぴったり合った」ってこと。それがどれほど良かったか。「ひよくれんり=比翼連理=相思相愛=離れ難いほど仲睦まじい」。んまぁ、そんな巡り合いをしてみたかった。だが、それほどよろしいと、うつつが溶ける、盲目になる。

 

 「かのさらしなも柏木がまことのこゝろに身を打こんで、雪のふる夜も雨の日もかよひつめたる百夜のちぎり、深きちぎりのふか草や、その浅草のわかれぢに、袖ひきとめしゐつゞけが、かうじかうじておやしきも不首尾となりし」。

 深草と浅草の言い回しは歌舞伎、狂言、都都逸にでもあった言い回しか。悦楽の後には苦しみが待っている。長くなったので次回へ続く。


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落つる葉や別れの枝の膨らみか [散歩日和]

karehayo1_1.jpg 灼熱の夏が続き、一気に冬の気配。しかし街を歩けば、眼が秋を探している。高層ビルを背にした桜の葉を撮った。さまざまな色に染まりつつ、虫食いのまま朽ち落ちる風情。だが落葉樹はいい。落ちる葉を見送る枝先に、来春に向けた固い蕾が宿っていた。落葉もまた腐葉土になろう。

 あたしはこの世に、次世代に、何かを残せたか。端から根なし草、風に漂い、やがて朽ちる。そんな「ひっそり」こそがいい。そう呟けば、かかぁが「おまいさん、そりゃ枯れ過ぎだよ」と言った。


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ケネデイのひいた芭蕉の道祖神 [くずし字入門]

dousosin1_1.jpg 故ケネディ大統領の長女、キャロライン・ケネディ氏が駐日大使として来日した。ワシントンの日本大使館での就任歓迎レセプションで、氏は来日を心待ちにする心境を芭蕉『おくのほそ道』冒頭の「道祖神のまねきにあひて取もの手につかず~」を引用したそうな。

 

 『おくのほそ道』全句を辿ったことがあるも、その箇所は頭に残っていなかった。日本人なのに、これは恥ずかしや、と改めてひもといた。冒頭は有名な「月日は百代(はくたい=ひゃくだい)の過客(くわかく=かきゃく=かかく)にして、行(ゆき)かふ年も又旅人也~」。引用された「道祖神」は、その冒頭より五、六行後に出てくる。

 

アメリカのケネディさんが芭蕉をひくなら、日本人のあたしは、せめて江戸当時の字(くずし字)を書き起こすほどのことはしたい。手許の書は新字の読み下し文(萩原恭男校注の岩波文庫)で、ここから私流くずし字で書き起こす。

 

原文は芭蕉草稿を曾良が筆写し、素龍が浄書とか。原文を読む“くずし字参考本”があって、容易に原文を眼にできようが、ここは自己流がミソ。そう云えば、現代文からくずし字を書き起こすは初体験なり。さて、素龍がどんな字を書いたか想像も出来ぬが、やってみましょう。

 

 読み下しは…やゝ年の暮、春立(たて)る霞の空に、白川の関こえんと、そゞろ神の物につきて心をくるはせ、道祖神のまねきにあひて取もの手につかず、もヽ引の破(やぶれ)をつゞり、笠の緒付(つけ)かえて、三里に灸すゆるより、松島の月先(まず)心にかゝりて、住(すめ)む方は人に譲り、杉風が別墅(べつしょ)に移るに …そして第一句、草の戸も住替(すみかは)る代(よ)ひなの家

 くずし方は多彩変化。後で原文と私流くずし字を比べて、恥をかいてみましょう。


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石蕗の花ツチバチだけが待ち望み [花と昆虫]

kinke5_1.jpg ベランダの一本のローズマリーだけでも、実に様々なムシに出逢える。今度はミツバチより倍以上の大きな蜂が飛んできた。あたしのマクロレンズのワーキングディスタンスは90ミリだが、刺されちゃいけないから25㎝ほどで撮った(写真下)。これまたネットのハチ図鑑検索で、キンケハラナガツチバチ(金毛腹長土蜂)かなと判定。触角が長いのがオスで、これはメスらしい。晩夏から秋にかけて出没し、メスのみ成虫で越冬。作物の根を侵すコガネムシの幼虫に寄生(幼虫に産卵)。

 

 先日、新宿御苑に行ったらツワブキ(艶蕗、石蕗)の黄色の花が満開(花期は1011月)で、キンケハラナガツチバチが群がっていた。(写真は400ミリの望遠レンズ)。

 石蕗・艶蕗の季は春だが、「石蕗の花=つわのはな」は秋の季語。好きな其角の句に「蝶ひとつとばぬ日かげや石蕗の花」がある。そんな石蕗の花だが、キンケハラナガツチバチだけは、その開花を今か今かと待っていたに違いない。

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源内も震えた奇談かわら版 [くずし字入門]

uma1_1.jpg 池袋西口の古本まつりで、平凡社の太陽コレクション『かわら版』(昭和53年刊)を入手。江戸・明治の多種「かわら版」を「読みくだし付」で紹介。「珍談奇談の流行」の項に「百姓の女房、馬の子を産む」を筆写してみた。

 

 「くずし字」初心者でもスラスラと読めるレベル。筆写も一発書き。まずは「このたび所ハ山城の国嵯峨大徳寺前」。「大徳寺」は金閣寺近くの実在の名刹。実と虚の入り混じり奇談なり。「百姓左次右衛門女房之おいね、としは二十五才なり」。「左=さ」で「右=読まず」で「さじえもん」。「衛」は「エ」で省略。左と右を含む立派なお名前。

 

 「此百姓左次右衛門のうちに、あし毛のむまを常々からかいおき申ところ、うちの女房おいねつねづねから、いたつてきりやううつくしき女なりしが、毎日毎日この馬にかいばをあたゑけるが」。「むま」は馬。

 

 「このむま、のちにハ、此女房おいねのかをかたち、こゝろばゑ、きりようのうつくしき事に見い入れられ、有る日、馬にかいばやるときに、むま、家ゑおいねをひきこみ、むまがすぐにこう加ういたして」。まぁ、むまが女房にぞっこん惚れて、遂に「こう加う=交合」致して…とある。

 

なんと獣姦奇談ではないか。北斎に「蛸と海女」の絵あり。ギリシャ神話では王妃と牛の交合でミノタウロスが誕生した。さて続き…「その月この女についニむまの子をはらミて、今月二日に馬のかをのつきたるあか子をうみし事、ま事(誠)にめづらしき事どもなり」。挿絵は豊満な乳房の女房と、馬の顔で身体は人間の赤子の絵。まさにギリシャ神話のミノタウロス。ご丁寧にも、赤子の陰茎の巨大なことよ。

 このかわら版は江戸後期。かわら版作者は、ギリシャ神話のミノタウロスを知っていたのだろうか。平賀源内も男根のような棒を叩きつつの浅草の人気講釈師・志道軒をモデルに、スィフト『ガリバー旅行記』に匹敵の物語『風流志道軒傳』を書いた。かわら版作者も女房と子の、その後の波乱万丈物語を記せば、後世に名を遺せたかもしれないと思った。いや源内の才気ゆえの無残な死を思えば、無名のままが良かったような。


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盛り場の池も絵とするマガモかな [新宿御苑の野鳥]

magamo1_1.jpg「おまいさん、机に向かってばかりだと足腰が萎えちまうよぅ。新宿御苑を歩いてきたら…」ってんで、久し振りにカメラ持参で苑内を歩いた。早くもオシドリ、マガモが入っていた。

 味けなかった御苑の池に、マガモらが泳ぎ回って、俄かに「秋の絵」となった。日を追ってカルガモ、ハシビロガモ、キンクロハジロなど水鳥の群れも飛来しよう。紅葉も色づきだそう。そして紅葉が落ちれば野鳥のエナガ、シジュウガラ、メジロの混生群が賑やかな移動を見せ、シメ、アトリ、アオジ、ヤマガラ、コゲラ、ツグミ、シロハラ、ウソらの冬鳥も賑わおう。これからが愉しい季節です。


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菩提の「ぼ」+煩悩の「ぼ」=「ぼヽ」 [くずし字入門]

syun1_1.jpg もう少し、春画のくずし字をアップしてみよう。まずはよく登場の「ぼゝ」。漢字では「開」。このブログでよく登場する大田南畝(蜀山人)は、菩提の「ぼ」と煩悩の「ぼ」で「ぼゝ」だと、どこかに記しているそうな。さすが也。前回は絵に比し、文章は未成熟と記した。こんな文を筆写してみた。

 

 「いいかいいか フヽヽウ フヽヽウ いいかいいか それそれ どうだどうだ フヽウ、フヽ、ウフヽ アヽ、いゝぼゝだナア、 アレアレ こつぼ(子宮)のくちが しつぽしつぽと まらのあたまをかみつけらア あれ アヽ いくいく サアサア きをやるナ、ウヽヽ てまへいがいくいくか カヽヽヽ ぼゝのなかが火のやうになつてきたア ハアハア、ハアフヽヽヽウ おれもいくぞいくぞ、いいいいいいい ぴくうり」

 繰り返し「くの字点」を多用(横組みだと上手く行かぬ)で、やはりてぇしたこたぁ~ない。こんな枕絵だが、他の絵で「さ+ま」で「さま」の合字を教えてくれたので、脇にメモを残した。くずし字の初心者には、春画も貴重な勉強の場なんですねぇ。ええっ、もっと続けろと!


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再びの収穫ありと唐辛子 [花と昆虫]

naitou2ban1_1_1.jpg 先日「梅花空木」の狂い咲きを記したが、同じく7階ベランダで栽培の内藤新宿の江戸野菜「内藤唐辛子」が、収穫後に再び花が咲き、唐辛子をたわわに実らせた。

 

一昨年に三苗をいただき、赤い実を収穫。今年はその実から種を蒔き、プランターにびっしりと発芽。三苗に絞り込んで150余の真赤な唐辛子を収穫した。これで今年も充分…と思っていたのだが、再びの収穫を迎えんとしている。調べてみれば一年草ながら二度収穫が摂理とか。まったくわかっていなかった。

 

一方、伊豆大島で購った「明日葉の種」も見事に発芽して、目下、二つのプランターで育っている。早や若葉を収穫して天麩羅、おひたしで食していたが、調べてみれば二年目から収穫すべしとあった。多年草とはいえ、花が咲いたら枯れるとか。咲かさずに花茎を摘み取ることで長生きさせる。花が咲いて枯れる…それで多年草か。この辺もよくわからない。

 

隠居なれど、江戸時代のくずし字をはじめ、植物や昆虫、まして“どう生きるか”なんてこたは皆目わからぬ。いつ死んでもいい歳になったのに、わからぬ事が余りに多くて、もうちょっと生きてみたいと思うようになってきた。だが先輩、同年配は次々に逝く。


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六ケ敷魅死魔幽鬼夫と認めて [くずし字入門]

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古文書で「むずかしく」は「六ケ敷」。この「しく」は「し」で終わる形容詞の連用形「シク活用」だろう。以下参考書『古文書の読み解き方』より…「厳敷=きびしく」「如何敷=いかがわしく」「怪敷=あやしく」「委敷=くわしく」「嘆敷=なげかわしく」「宜敷=よろしく」「久敷=ひさしく」「甚敷=はなはなしく」「紛敷=まぎらわしく」「睦敷=むつまじく」と多用される。「申間敷=もうすまじく」「致間敷=いたすまじく」。「敷」に替わって「鋪・舖」も遣われる。

 

この「六ケ敷」から暴走族らの当て字を思う。それを遊んで三島由紀夫は市ヶ谷自衛隊駐屯地(現・防衛庁)で自決の頃、ドナルド・キーンへの手紙に「怒鳴門鬼韻様」としたため、ドナルド・キーンは「魅死魔幽鬼夫様」と返信し、三島は文字通り「魅死魔幽鬼夫」になったそうな。(ドナルド・キーンの「東京新聞」掲載随筆」より)。

 

前回「令(せしめ)」をメモしたが、「為」も多用される。「為読聞」の「為=ため、としての他に…せ、かせ、させ、わせ、し」。「以御慈悲」の「以=もつて」。「可仕段=つかまつるべきだん」。今は「仕=つかまつる」は死語だろう。

 また古文書では「隙=ひま」で、「暇=いとま」、「閑=しずか」らしい。(参考:増田孝著『古文書・手紙の読み方』)。一方「聞く」と「聴く」は同じように遣われている。しかし今の辞書では「聴く=心を落ち着けて注意して耳に入れる。傾聴する」。音楽は創り手・受け手ともに演奏(歌手の喉を含め)の一音づつのこだわり、音創り、表現があり、それを受け手も愉しむゆえに「聴く」がふさわしい。音楽関係者が安易に「聞く」と記す場合はこだわり、矜持、誇りのない方と思われてもしかたがないかも。


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花咲けば善悪美醜混じり来て [花と昆虫]

abu1_1.jpg 美しい花に、蝶や蜂の吸蜜姿は絵になるも、他にナニが訪れるかはわからぬ。これは「ハエ」か。いや「ハナアブ」らしい。キク科受粉に活躍とか。この辺でもキクが咲き始めたゆえに、そちらへ移る立ち寄りだったか。

 

 花は受粉できれば、どんなムシでも歓迎だろうが、女の子が花咲く頃になれば、善悪美醜さまざまな男らが群がる。悪いムシが付き、不幸な事にならねばいいが。青年らは失恋の修行が足らず、女子は思慮分別が足らぬか。

 

 そんなことを思いつつ写真を見れば、この「ハナアブ」の“性根はいかがや”と思ったりした。見た目は粗暴っぽいが、健気な働き者のように思えてきた。

 


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枕絵の怪し文読み江戸っ子でえ [くずし字入門]

mibobo1_1.jpg十月末、池袋西口「古本まつり」に行った。『くずし字解読辞典』、『東京名所圖會/四谷區・牛込圖之部』、太陽コレクション『かわら版新聞』を購った。他に「くずし字」はないかと探せば浮世絵の枕絵(春画)あり。葛飾北斎の『東にしき』『縁結出雲杉』、重信『柳の嵐』も買った。

 

男なら春画に添えられた「くずし字」をスラスラ読んでみたいと思ったことがあろう。で、まぁ、読めるようになっているんですねぇ。絵は超誇張のスーパーリアルでお見せできぬが、「くずし字」筆写で、自己流釈文でやってみよう。

 

まずは「見ぼゝは毛ぼゝ、しぼゝは小ぼゝ、さぐりぼゝは大ぼゝと誰やらが言った事だが」 …見るぼゝ(開=ぼゝ)は、ふんわり繁った毛開(ぼゝ)に趣があり、致すならば締りの良い小さな開(ぼゝ)がいい。手で探るなら大きい開(ぼゝ)が良いと誰から言ったそうだ。(北斎らしい)。

 

「かう見た所は違へねへ、コレサぢつとしていやな、これも新手で珍しい」。藤兄さんは、いじりながらしげしげと開(ぼゝ)を見つつ、こうつぶやいている。するってぇと姐さんは、たまらず「藤さん何だね、そんな真似をせずと中へ入いんなよ、おらア、もう嫌だのう。気恥しい、そんな所を見せると三年の恋もさめると云うはな、はやく入って抱付いてくんなといふにさ」。

 

姐さん、恥ずかしくもあり興奮もしているようす。見ていないで早く入れてよぅとおねだり。藤兄さん、まだ余裕がある。姐さんの開(ぼゝ)を愉しみつつ、こんなことを言い出した。

 

「コレ此頃聞けば、辰野郎にさせたじやねへか、裾つぱり(裾っ張り、裾張=淫乱女)めへ、させるもいいが覚悟をしてさせや、あとで業恥をはたかねへ用心しろ」。なんと、いたしつつ痴話喧嘩が始まった。「業恥」は知らねど「業腹」はある。「業」は仏教用語で煩悩による「悪業」と解釈すれば、「業恥」は煩悩による恥、大恥。さて、恥は「さらす」で、陰口を「たたく」だが、江戸っ子は恥を「はたく」か。姐さんも藤兄イに反撥する。

 

「ナニ辰べいにさせたと、ヘン、よしてもおくれ、あんなきざな野郎にナニさせるものか、人のことを云わずと、おめへ、お民さんにのろけたじゃねへか」。姐さん、そうやり返したが、今はそんなことより兄さんに真面目に取り組んでいただきたい。

 

「アレサ、そりやア、まア、いゝから、中へばい(「い」の前に「は」欠けだろう)んなといふによ、じれつてゑのう」。「エヽ、もつと足をすぼめやな、口綺麗なことを云わずと白状したうえで、よかるがいねゝ」。

 枕絵の絵は凄いが、文は今のエロ小説に比すれば大したこたぁねぇ。絵は成熟していたが、文章はまだ熟れていなかったのかもしれない。熊さんハっつあんも寺小屋に通っていただろうから、このぐれぇは読めて「ウヒッヒッ」と笑い愉しんでいたかもしれない。


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通い来てねぐら何処(いずこ)と秋の蜂 [花と昆虫]

hati1_1.jpg ローズマリーにどこからか五、六匹のミツバチが日々通ってきた。新宿のマンション7階に、どこから飛んでくるのやら。図鑑で見ればニホンミツバチらしい。通ってくるからには、どこかに巣があり、女王蜂もいよう。

 

 ミツバチといえば養蜂。最近は都会でも彼方此方で「養蜂プロジェクト」が展開されているとか。ここに来るハチの営みはどうなっているだろう。わからないことばっかりです。

 

 ちなみに蜂の群れは1匹の女王蜂に、95%の産卵せぬ♀の働き蜂。交尾の他は存在感ゼロの5%の♂で構成とか。男がだらしない今、やがては蜂のような世界がくるような気もしないではないが、日本の女性議員に期待できる方はゼロ。日本という社会、国家は弱体の一途なのだろう。


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