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芝山様 五両返して下さい  [くずし字入門]

komonjyo6_1.jpg 左記古文書筆写の<解読文+(読み下し文)棒組

 乍恐以書付奉願上候(おそれながらかきつけをもってねがいあげたてまつりそうろう) 一(ひとつ)御役所様御馬御飼料御用数年来被 仰付(おおせつけられ)冥賀至極(みょうがしごく)有難仕合奉存候、然(しか)る所、御調役(おしらべやく)芝山様御勤役中(ごきんやくちゅう)、去夷(さるい)五月廿日、御同人様御取扱ヲ以(もって)私江金五両借渡(かしわたし)有之趣にて(これあるおもむきにて)、同年十二月御払代金之内、元利金共五両弐分御引去ニ相成(おひきさりにあいなり)、此段私方ニてハ(このだんわたくしかたにては)其せつ何方様ゟ(いずれかたさまより)も一言之御断(いちごんのおことわり)も無之(これなく)毛頭存不申候義(もうとうぞんじもうさずそうろうぎ)ニ付、何(いず)れニも御払頂戴仕度(つかまりたく)、是迄種々相嘆(これまでしゅしゅあいなげき) ~長いので後半は後日~

 「借渡」は「かりわたし」ではなく「かしわたし」。ここがミソですね。広辞苑や古語辞典にも載っていなかったが、「日中辞典」に~中国語の「借」は「借りる」と「貸す」の両方に使われる~とあった。ここでの「借渡=貸し渡し」。要するに貸したんである。貸した金と利子をオンして払ってもらうはずが、払ってもらえなかったと言っている。「仕度」は「したく」ではなく「仕=つかまつる」+「度=だし・たく・たき等の活用」=「つかまつりたく」。

 余談だが目下、横井也有翁『鶉衣』の原文を読んでいる。大田南畝(四方山人)が「序」を記している。也有翁の「借物の弁」を読んだら面白く、調べれば翁はすでに亡くなってい、『鶉衣』を遺していた。これを世上にしたく出版したと書いていた。「借物の弁」を読めば、物や金の貸し借りについて記した後で、かり親・かり養子も勝手次第なのに、なぜに女房ばかりはかりひきのならぬ世のおきてよ~と〆ていた。そんな貸し借りもしてみたいもんです。


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