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御払不足御渡下置(お金かえしてぇ) [くずし字入門]

komonjyo7_1.jpg左記古文書筆写の<解読文+(読み下し文)棒組 前回の続き

 奉願上(ねがいあげたてまつり)候得共(そうらえども)御下ケ金(おさげきん)無之(これなく)、御役所様ゟ(より)御談(ごだん)ニハ私ゟ(より)芝山様江可掛合旨(かけあうべくむね)被 仰聞候間(おおせきかされ候あいだ)、無余義(よぎなく)奉承伏(しょうふくたてまつり)、御同人様江 罷越候処(まかりこし候ところ)、御同人様仰聞ニハ(おおせきくには)御払金之事故(ことゆえ)、兎も角も伊藤様江 可願旨(ねがうべくむね)被 仰聞(おおせきかされ)、彼是(かれこれ)御双方様突掛物ニ相成(つっかけものにあいなり)、事柄(ことがら)聊不相分(いささかもあいわからず)、連々(れんれん)御引延ニ相成(おひきのばしにあいなり)、只々私方計り(ばかり)無謂事(いわれなきこと)ニて極実難渋仕候(ごくじつなんじゅうつかまつり候)、乍恐(おそれながら)元々ハ御同役様方御咄し合(おはなしあい)に而(て)御取引被成候義ニ(なされ候ぎに)御座候間(ござそうろうあいだ)、何様二も早々御調之上、早速私江御払不足御渡被下置様願上候(おわたしくだしおかれるようねがいあげ候)、以上、嘉永五子年二月 御厩御役所様 戸塚村 甚右衛門

 まぁ、お役人が名主農家に五両詐欺? 時代小説でも読んでいるような古文書です。遣われなくなった多くの言葉があって楽しい。「御下ケ金(おさげきん)」「承伏(しょうふく)」「罷越(まかりこし)」「彼是(かれこれ)」「突掛物(つっかけもの)」「聊不相分(いささかもあいかわらず)」「連々(れんれん)」「計り(ばかり)」「無謂事(いわれなきこと)」「極実難渋(ごくじつなんじゅう)」。

 「突掛物」は広辞苑だと「突っ掛けること、突掛草履」だが、ネットの日中辞典で「他人を頼みにして物事をほおっておくこと」。名詞では「ほっておかれて顧みられない物」とあった。古文書解読には「日中辞典」も必要かしら。

 「罷る・罷り」は古文書に頻繁に出てくるのでメモ。「罷る」は去る、退出する、来る、行くの謙譲語。死ぬ。みまかう。「罷越」は参上する、まいる。「連々」はひき続くさま。「極実難渋=ごくじつなんじゅう」はたまた「難渋のきわみ」かしら。「承伏=承服」。


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