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日坂「あたらしくけさにこにことわらび餅~」 [狂歌入東海道]

26nissaka_1.jpg 第二十六作目は「日坂(にっさか)」。狂歌は「あたらしく今朝にこにことわらび餅をかしな春の立場なるらん」。立場(たてば)は掛け茶屋。「日坂の名物は蕨餅。この絵の茶屋でも蕨餅を売っていたのだろう。蕨餅は葛の粉で作り、豆の粉をまぶして食す。珍味なおかしを頂いてご機嫌の茶屋でしょうか、と詠っている。

 「なるらむ=中世以降・なるらん=~でしょうか、~であるだろうか」。「をかしな」の〝か〟がミミズがのたうったような字。「か」のくずし字の元漢字は加・可・閑・賀・家・歌・哥・謌・荷・嘉・佳・香・我・歟・霞。さて、この「か」はどの漢字のくずし字でしょうか。

 弥次喜多らは次第に強くなってくる雨に、未だ八つ(午後二時頃)だが日坂宿に泊ることを決める。宿には巫女ら一行がいた。弥次さん、亡き妻を呼んでもらうが、亡き母も妻も出て来て弥次さんへの恨み言ばかりで、早く冥途に来いと誘われる。弥次さん「迎えに来るにゃ及ばない」。すると巫女は「ならば長目を張り込みなさい」で二百文也。

26nitusakauta_1.jpg26nissakaup_1.jpg 喜多さん、沈む弥次さんに酒を勧める。酒宴に巫女親子と連れの女も加わって呑み出せば、その強いこと。座は次第に乱れ行く。喜多さん、夜中に夜這い。〝仮の契りをこめして〟就寝。そこに弥次さんも夜這いで吸い付けば相手が喜多さんで仰天。その騒ぎに灯りをつければ、喜多さんの〝契り〟の相手が婆さんと判明して慌てて逃げる。

 婆さん「こんなことを商売にやぁしませぬが、旅人衆の伽でもして、ちつとばかしの心づけを貰ふのが世渡り。さんざん慰んで、只逃げるとはあつかましい。夜の明けるまでわしのふところでねやしやませ」。ここで弥次さんの一首。「いち子(巫女)ぞとおもふてしのび北八に口をよせたるぞくやしき」。


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