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岡部「草臥てこしをうつゝのうつの山~」 [狂歌入東海道]

22okabe2_1.jpg 第二十二作目は「岡部」。狂歌はくずし字の元漢字交じりに記せば「草臥て古(こ)しをうつゝのう都(つ)の山岡部のやど尓(に)夢もむ春(す)者(は)須(ず)」。狂歌作者は「春富亭満葉」。

 絵は「宇津ノ山ノ図」。坂を上った所に茶屋(名物・十団子を売る茶屋だろうか)。道は「宇津ノ峠」へ続いている。弥次喜多らは「それより宇津の山にさしかゝりたるに、雨は次第に篠(しの)を乱し、蔦のほそ道心ぼそくも、杖をちからに十団子の茶屋ちかくなりて、弥次郎おもはず、さかみちにすべりころびければ~と記して狂歌「降しきる雨やあられの十だんごころげて腰をうつの山みち」。

 〝蔦の細道〟を歩いたように記しているが、間違いで〝宇津ノ山の峠道〟だろう。「宇津ノ山」は上り下り十六丁で、その峠道入口に十団子を売る茶店があった。この団子は小さい餅団子を糸で通したものらしい。

22okabebun2_1.jpg22ikabeuo_1.jpg 「篠」は小さい竹の総称。「篠を乱す=激しい風雨で荒れるさま=篠を突く」。狂歌入東海道は二十二作目にして絵と狂歌、膝栗毛の文章と狂歌、さらに保永堂版の絵のすべて「宇津ノ山」で一致です。

 弥次喜多らは茶屋を下ると、早くも岡部宿の宿引きに声を掛けられる。「大井川は川止めです。(例え越えられても)嶋田や藤枝の宿には大名一行が泊っています。まずは岡部にお泊り下さい」。岡部宿で泊ることにして一首。

 「豆腐なるおかべの宿につきてげにあしに出来たる豆をつぶして」。豆腐は白壁に似ていることから女房詞で〝おかべ・御壁〟(古語辞典)。「げに=本当に、まったく、いかにも」。豆腐~豆をつぶして、とつなげている。

 弥次喜多らは〝川明け〟まで岡部宿で休憩。同宿の飯盛女は素人風で評判だったとか。揚代は五百文。これにて『膝栗毛続編二冊完』。


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