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大島に我家設けて鄙の冬 [おくのほそ道]

dokusyobench_1[1].jpg 芭蕉は清風の配慮で尾花沢10日滞在のうち7泊を養泉寺で過ごした。ここで<涼しさを我宿にしてねまる也>と詠んだ。「ねまる」はくつろいですわるの、最上地方の方言。「古語辞典」にあり。芭蕉さん、この言葉を遣いたくての句だろう。今は尾花沢に「芭蕉・清風歴史記念館」なぁんてのがある。

 さて、この句をもじって<大島に我宿設け鄙をぶり>。おっと、季語がないか。<大島に我家設けて鄙の冬>はどうか。東京生まれゆえ、田舎暮しを知らず。仕事でちょっと儲けた時期があってゴルフ会員権を買い、伊豆大島にロッジを建てた。バブル崩壊で会員権は紙屑になったが、島のロッジは大いに愉しませてもらっている。

 海っぺり防風林に建つロッジは、周囲にウチと同じ小さな別荘が数軒あるも滅多に来ぬ。夕陽が落ちれば漆黒の闇。今の季節は海からの強い西風がゴーゴーと吹き、家が吹き飛ぶかの恐怖。木々が騒ぎ、胸が騒ぎ眠れぬ夜となる。風がなければ虫の音と波音。騒音が夜通し絶えぬ新宿暮しに比し、大自然にひとり投げ込まれたような鄙なる暮し。「蚤虱馬の尿~」はないが、ムカデも出た。夜は6面体蚊帳ん中で寝る。風呂場に蛇も出て、かかぁが卒倒したこともあった。そこまで鄙でなくてもいいのにと思うのだが・・・。

 島に行けば、写真の手製長ベンチで「ねまって」読書。夏は裸で、冬は毛布を掛け、四季折々の鳥のさえずりが愉しみつつ読書している。


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