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6)格差への道 [政経お勉強]

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 政経お勉強5)を記した後にパソコン不調で、図書館の書棚をブラブラと廻った。2006年刊の橘木俊詔著『格差社会』(岩波新書)があり、2008年刊の中谷巌著『資本主義はなぜ自壊したのか』(集英社)があった。目下のベストセラー、水野和夫著『資本主義の終焉と歴史の危機』に書かれたことは、すでに6、7年も前から指摘されていることを知った。しかも中谷著には今話題の「トーマス・ピカティ(まま)」指摘点も紹介されていた。★なお、今日8日の東京新聞は「ピケティ特集」の感。見開き頁で独占インタビュー。「社説」も「時代を読む」もピケティがらみ。

 さて、ピケティ氏来日で、民主党が格差是正の必要を問えば、お坊ちゃん総理は「まず成長」と突っぱねたそうな。2月3日のBSフジ「プライムニュース」でも自民党側出席者が「まずパイを大きくしなければ格差是正もできないでしょう」と言っていた。

 アベノミクスはパイを大きくして、三角錐に組んだワイングラスのトップに水を注げば下も満ちよう=トリクルダウン理論だが、今朝の新聞でピケティ氏は「トリクルダウンの理論が実現した例は過去にありません」と発言していた。パイを大きくする=成長至上主義。コレが格差をいかに拡大したかをお勉強してみる。

konritu_1.jpg 武田晴人著『脱・成長神話』(朝日新書)の冒頭に、こんな記述があって驚かされたい。「経済成長という言葉、概念が使われだしたのは、せいぜい60年くらい前からのこと」。ウヘッ、50年代半ばってこと。経済白書で「もはや戦後ではない」と記されたのは1956年(昭和31年)。テレビ・洗濯機・冷蔵庫の三種の神器が普及した神武景気の頃らしい。

 また同書は、1961年からの「国民所得倍増計画」は文字通り〝国民みんなの所得倍増〟で、完全雇用で格差是正を目指した。その結果が「国民総中流層」の実現に至る。中谷巌著には自身の69年からのハーバード大留学時の米国中流階級による「よきアメリカ」に感動したとの述懐が記されていた。

 中谷巌氏はその影響もあったか、アメリカ流の急先鋒として行政にもタッチしたが、その後のアメリカの荒廃に、自らの考えを懺悔・転向の自戒を込めて同書を執筆したと告白している。「よきアメリカ」がなぜ崩壊したか。「新自由主義=構造改革」と「グローバル資本主義」が「危険思想」だったとさえ記している。それは〝パンドラの箱〟を開けたようなものだったと懺悔する。

 新自由主義は規制を撤廃してマーケットの自由な動きで経済を活発化しようという「レーガノミックス」を生んだ、慾の開放。共同体価値を無視し〝より多く儲けた者=勝ち組〟になる。この「構造改革」が日本に入ってきて「小泉構造改革=聖域なき改革」。米国で起こったと同じ現象が日本でも起きた。雇用規制の開放で派遣社員が増えた。そこに「IT技術と金融グローバル化」。生産工場は海外に出て行けばリストラが。地球環境も食品汚染も一気に世界規模で拡大した。(上図の「レーガンミックス」は「レーガノミックス」に訂正。クリック拡大でどうぞ)

 そして同著をはじめ多くの経済書には、OECD(経済協力開発機構)の所得分配調査が紹介されている。日本は先進国のうちで三組分けの最下位「不平等性の高い国」に括れ、OECDの平均所得の50%以下を貧困者と定義した貧困率調査で、日本第5位が紹介されている。メキシコ、トルコ、アイルランドを抜いた先進国ではアメリカに次ぐ貧困率2位。あぁ、我が日本の現状はこの有様、なにが経済大国だ。なにが平等だ。(2012年データでは、日本は堂々の4位になっていた)。

 あたしは日々テレビに流れる1億円余の資産を有した閣僚らの姿を見つつ、あぁ、これじゃ日本は良くならねぇなぁと思ってしまった。彼らは本当に正しく?税金を払っているのだろうか。誤解なきように言っておくが、あたしは如何なる政党員でもなく、ただの隠居。なお中谷巌の同著内容については「松岡正剛の千夜千冊」に詳しく紹介されていた。


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