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鶉衣14:断酒辨‐花の留守せん下戸ひとり [鶉衣・方丈記他]

dansyu2_1.jpggekohitori_1.jpg けふより春の蝶の酔心をわすれ、秋のもみぢも茶の下にたきて(白楽天の~林間に酒を煖めて紅葉を焼き~のもじり。酒ではなく茶を紅葉で焚き)、長く下戸の楽しみに老を待つべし。さもあれ(然も有れ=結果はどうあれ)此誓ひ、みたらし川に御禊(みそぎ)もせねば、たとへ八仙の一座なりとて(中国の酒豪八文人の座であっても)、まねかば(招かれれば)柳の青眼に交り(柳は青の縁語。白眼に比した青眼=親しみの目つきで交わい)、吸物さかなは人よりもあらして(諺:下戸の肴荒らし)、おなじ酔郷(酔中の趣)に遊ぶべくじは(「べし」の連用形。~すれば)、いざ松の尾の山がらすも月にはもとのうかれ仲まと思ふべし。(山カラスも月の夜の浮かれた仲間と思うだろう)。花あらば花の留守せん下戸ひとり

 同句のような絵が、重長版「絵本江戸土産」に見つけた。これは今も昔も同じ〝場所取り〟の光景かも。さて、小生も若い時分は連日飲み歩いていた。新宿には交際費で落とすツケの店が数軒。そんな某日、事務所から出て、まず自動販売機のビールを煽るとジーンとアルコールが染み渡る〝えらい快感〟。「あぁ、これが酒飲みの身体・心境か」と思ったもの。

 かくして酒の失敗数知れず。今は酒が飲めなくなったが、そろそろ花見の季節。今は下戸には有難い「ノンアルコール」もあって、飲んだフリで酒席のバカ話に付き合うも容易になった。

 4年前の3月11日です。新宿御苑の寒桜にメジロの戯れる景を愉しんで帰宅後、あの大地震に襲われた。アンティークを収めた食器棚を押さえつつ、自分の部屋の本棚から書籍が次々に落下するのを見ていた。


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