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マイセンの二級印ぞ桜雨 [デミタス&飾り皿]

upmeissen1_1.jpg 先日、日本橋の三井記念美術館で開催の「デミタス コスモス」展を観に行った。「デミタス」は仏語で半分の意の〝demi〟+カップの〝tasse〟=demitasse(半分のカップ)で、濃いコーヒーを飲む器。なぜに、そのアンティーク蒐集展を観に行ったかといえば、実は我が貧乏隠居所に似つかわしくない立派なガラス張り食器ケースがあって、「デミタス&飾り皿」が収まっているんだ。それらは小生が稼いでいた時分に、女房がヘソクリでセッセと買い込んでいたものらしい。

 かくして我が家では地震がくれば、まずその食器棚を押さえることになっている。「デミタス」は15セット程あって、それら磁器の知識、鑑賞眼が皆無ゆえに、同展覧会で多少の勉強をしてみようと思い立ったワケ。まぁ、女房孝行です。

souken1_1.jpg 帰宅後に、その食器棚からまず最初に手に取ったのが「マイセン」のバックスタンプ(窯印。この言葉も今回初めて知った)がついた「デミタス」。同展覧会のカタログより「マイセン」の頁をひもとき、手にした「デミタス」を「上絵金彩花と男女図の交互構成カップ&ソーサー」と題し、その優美な曲線を愛でた。

 さて、肝心のバックスタンプをじっくりと調べる。「双剣」で間違いなくマイセン製と判断。さらに双剣マーク下方先端に点で〝ボタン剣〟なり。他に点や文字もなく、これは1800~1910年製と判断した。うむ、ちょっと高額なり!とほくそ笑んだが、そうは問屋が卸さなかった。マイセンのバックマーク説明をさらに読め込めば「1980年までの二級品には、マイセンマークに重なるように二本の切れ込み線が入っている」の記述があるではないか。

 まぁ、我が家のマイセン「デミダス」には、微かに双剣マークに二本の刻み線がある。写真では分かり難いが手でさすってみると良くわかる。どうやら二級品(瑕物)を掴まされたらしい。かかぁにそう言えば「いいのよ。眺めていて〝まぁ、きれい。こんな磁器を作っていた時代があったんだ〟と楽しんでいるだけだから」。そうは言うが落胆は隠せぬので、こう慰めた。「うん、〝ボタン剣〟ゆえに105年前の製品には間違いない。明治か江戸時代の作。歴史と美しさは充分に楽しめるよ」。こんな調子で我が家のデミタス&飾り皿をひとつ一つ調べて行くことにした。


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