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ヘンリー・ミラーの水彩画 [スケッチ・美術系]

hmiller3_1.jpg ブログアップはしていないが、横井也有『鶉衣』を相変わらず読んでいる。「四芸賦」で画について書いている。「~俳諧師の絵は、上手下手の沙汰なしとて、翁(芭蕉)も跡をのこし給へば、我も我流の筆ぬらしそめて~」。ここから異端の大文豪ヘンリー・ミラーの水彩画を思い出した。面白いもので同時期に観た「植草甚一」展の展示説明文に「ヘンリー・ミラー」の名を見た。

 『ネクサス』を読んだのは遥か昔々、21歳の時だった。どっぷりと嵌った。『暗い春』『クリシーの静かな日々』他。そのうちに新潮社から『ヘンリー・ミラー全集』が刊行。『北回帰線』『南回帰線』『セクサス』『プレクサス』『冷房装置の悪夢』『ビッグサーとヒロニムス・ボッシュのオレンジ』等々。毎月の刊をむさぼり読んだ。

 20代後半になって〝豪華水彩画集〟が発売になった。確か『描くことは再び愛すること』だったか。宝物だったが、女の子に貸したら返ってこなかった。この時から、あたしの頭の片隅に〝水彩画〟が棲み付いたのかもしれない。

 若い時分にヘンリー・ミラーを読んで、あたしは真っ当な人生が送れなくなってしまった。〝ドロップアウト〟し、ようやく社会人になったがラッシュの電車に乗りたくはなく、初給金で〝ドロップハンドル〟の自転車を買った。会社勤め2社4年で以後はフリー。よくぞ老いるまで食って来れたものだ。Hミラー熱は彼がホキ徳田に夢中になって一気に醒めた。

 今のあたしの自転車や水彩画も、20代への回帰だろうか。似なかったがヘンリー・ミラーの顔を茶色のボールペンで描いてみた。彼の顔の特徴は鼻の下の長さだ。世紀のスケベだった。あたしが髭を生やしたのは、あたしも鼻の下が長く、そこにヒクヒクと表情が出るのがイヤで生やしたんだ。


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