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日本語(3)和歌は濁点を好まない [くずし字入門]

dakuten2_1.jpg 「おまいさん、そんなに机に向かっていると今月は10万歩達成できないよ。馬場のブックオフへ行っておいでよ。あたしの好きな時代小説を買って、ついでにコージーコーナーでケーキを買ってきておくれ。往復5千歩だよ」

 かくしてブックオフで小池清治『日本語はいかにつくられたか?』と岩波文庫の『古今和歌集』を購った。それらも参考に山口謡司『てんてん』を拾い読みする。「はじめに」にこう書かれていた。

 「いまだに和歌は〝ひらがな〟には濁点をつけずに書くのが正統である。/本居宣長は古代日本語には濁音で始まる言葉はなかったと記している。/江戸時代は濁音なしでもよくて〝蕎麦をするするすする〟は(するする)でも(ずるずる)でも読み手次第。/日本人は自然の音を言葉にする能力に長けて〝てんてん〟をつけて擬音、擬態語(オノマトペ)を創造した。」

 第一章「日本語の増殖」 『古今和歌集』の「梅の花見にこそ来つれ鶯の ひとくひとくといとひしもをる」は、「ひとくひとくと=人が来る人が来ると」だが、この発音は平安時代初期は「フィトク」、奈良時代は「ピチョク、ピティォク」。鶯の鳴き声「ピーチク」(ホーホケキョじゃないのか?)にかけた〝言葉遊び〟だったと解説。平安初期まで「はひふへほ=パピプペポ」、『源氏物語』の頃は「ファ・フィ・フゥ・フェ・フォ」に変化。「さしすせそ=ツァ・ツィ・ツゥ・ツェ・ツォ」。「笹のは葉=口を開かずにツァツァノパパ」。

kouin_1.jpg 著者は「唐の漢字の発音を知ることができる『広韻』を調べてみると」として、次々に「発音記号」で説明するが『広韻』(国会図書館デジタルコレクションで閲覧可、写真左)に発音記号があるワケもなく、中国語発音記号「ピンイン」がローマ字式で制定されたのは昭和33年(1958)。これらはネット公開「音韻学入門」(愛知大)はじめ幾つかのサイトに詳しいが、専門過ぎて小生にはとても読めない。

 第二章「万葉仮名で書く日本語」 中国は唐王朝の影響で日本も公用語は漢文。だが日本固有のものは漢字では無理ゆえ、漢字の当て字(万葉仮名)が生まれた。漢字には主に呉音(ごおん)と漢音がある。「女=ニョ(呉音)、ジョ(漢音)/男=ナン(呉音)、ダン(漢音)/老若男女=ロウニャクナンニョ、法会=ホウエは呉音」と説明。

 面白いのでネット調べで追記する。日本へ最初に入ってきた中国語は南北朝時代の南朝・江南からで、同地はかつて呉の地方ゆえに呉音。他に食堂(じきどう)、文書(もんじょ)、金色(こんじき)、今昔(こんじゃく)、経文(みょうもん)なども呉音。

 だが中国が唐中心になると「科拳」(官僚試験)のために唐音に統一が必要で『切韻』で体系化。年々改訂された最終版は1008年『広韻』となって2万6千字ほどを収録。~どうやら「てんてん」を知ること=日本語誕生の歴史を知ることらしい。そこで体系的に説明された小池著『日本語はいかにつくられたか?』を読んでみることにする。

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