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馬琴「俳諧歳時記」八月を読む [暮らしの手帖]

basyohatigatu1_1.jpgbakin8gatu2_1.jpg 馬琴の享和三年刊『俳諧歳時記』八月(新暦九月中旬~)を読む。~「八月」葉月とは葉落月(はおちづき)の略也といへり。或は初月をよみて初来(はつき)とす。鴈の初て来た頭ころなるよしいへり。又は「はつき」は八月之八の字を「は」の音にとむは常のことなりと此節にしたがふべし。(たどたどしく読んだが間違っているかも)

 ~葉月は葉落月の略。初月は鴈が来る初めの月で初来(はつき)。又は八月の八を「は」と読むは常で「はづき=葉月」と説明。同月記述末にあげられた野鳥は38種。鳥好き、異体字に関心あるゆえにこれも筆写した。

 ~贗(雁の異体字。かり、がん)、鴻(ひしくひ、菱喰、カモ科)、雁書(かりのふみ、がんしょ、雁の使い、手紙、書簡、雁信)、雁金(かりがね、マガンに似ている)、二季鳥(ふたきとり、にきどり、雁の異名、秋に来て春に帰る二季節の鳥)、可多糸鳥(かたいととり、片糸鳥、雁の別称)、稲負鳥(いなおふせとり、稲刈りの時に来る鳥、実体は不明)、色鳥(秋に来る色の美しい小鳥)、渡り鳥、鴗(そにどり、かわせみ、翡翠)、啄木鳥、鵯(ひよどり)、鶫(つぐみ)、猿子鳥(ましこ)、桑鳲(まめうまし、いかるか、豆甘、イカルの異名)、椋鳥、鶲(ひたき)、鴰(ひがら)、山雀、四十雀、五十雀、小雀、頬赤(ほあか、ほおあか)、繍眼児(めじろ、シュウガンジ)~ まだまだ続くが筆写参照。

 馬琴は一時、百羽もの飼い鳥をし、三百種網羅の鳥図鑑『禽鏡』(きんきょう。絵は娘婿の渥美覚重)を天保五年(1834、馬琴68歳)に出版している。実際に繍眼児(めじろ)も飼っていただろうし、果樹を植え池も作るなどした凝った庭に、メジロも遊びに来ていたかもしれない。ここは野鳥に詳しい馬琴を信じて「メジロ=八月」、つまり旧暦・秋の季語(新暦九月)に納得したい。確かに「熟柿にメジロ」も眼にする。では「梅・桜・椿とメジロ」の春のイメージはなぜに捨てられたか。

 改めて「季語とは」を、宮坂静生『季語の誕生』でお勉強してみる。(続く)


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