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草木丹精より重いわが身の養生(10) [貝原益軒「養生訓」]

yojo4_1.jpg園に草木をうへて愛する人ハ、朝夕心にかけて水をそそぎ、土をかひ、肥をし、虫を去て、よく養なひ、其さかえを悦び、衰へをうれふ。草木は至りてかろし、わが身は至りて重し。豈わが身を愛する事、草木にもしかざるべきや。思ハざる事甚し。夫(それ)養生の術をしりて行なふ事、天地父母につかへて孝をなし。次にわが身、長生安楽のためなれば、不意なるつとめは先さし置いて、わかき事より、はやく此術をまなぶべし。身を慎み生を養ふハ、是人間第一のおもくすべき事の至也。

<爺婆談義> 爺:「わかき事より、はやく此術をまなぶべし。身を慎み生を養ふハ~」は後の祭りで、若い時分は「止めてくれるな、おっかさん」。カウンターカルチャーの青春で、親の反対が何でも良かった時代。随分と無茶をしてきた。婆:そんな若かったあたしたちを、両親はどう見ていていたのだろうか。爺:それでも親は親。行き詰まったり、辛くなったりすれば、黙って応援してくれていた。婆:比して益軒さんも奥さんも、子供時分からひ弱で養生が第一。無茶はしなかった。爺:同じ儒学者でも「新井白石」は剛毅だった。眉間に「火の字」。烈火のごとく激しい性格で武術も夢中。白石だったなら、これほどまでに「養生大事」とは言わなかった。

<私注> 「土をかひ=土を交う・換ふ=土を入れ違いにする」。「しかざる=如かざる=如の否定。及ばない」。

★新井白石が出てきた。貝原益軒と新井白石の師は「木下順庵」で、新井白石の終焉の地が「千駄ヶ谷」ゆえに、次回は「千駄ヶ谷シリーズ」(追加メモ)です。

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