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剃捨て初秋の風のそよぎ哉 [おくのほそ道]

 「おくのほそ道」4句目は<剃捨(そりすて)て黒髪山に衣更(ころもがえ)>。曾良の句となっているが芭蕉句で、句に続いて「河合氏にして~」と同行者・曾良を紹介している。黒髪を剃り捨て、俗衣を墨染の法衣にして旅に出たが、この黒髪山(日光・男体山)まで来たら、ちょうど卯月朔日(4月1日)の衣替えになった。黒髪を剃り、僧衣にした出家隠世に踏み出した感慨を新たにしている。

 あたしが長髪を丸坊主せしは40代後半の秋。白髪がポツポツと出たのと、今さら若者を気取る歳でもなかろうと、事務所近くの床屋で坊主にした。床屋から外に出ると、頭の天辺を風がそよいで、その感覚の新鮮さに驚いたことを今でも覚えている。ヒッピー、ビート、サブカルチャー、若者文化の熱も失せ、「いか天」などのバンドブームでロックも単に仲間うちのお遊びみたいになってガッカリしたこともあった。<剃捨て初秋の風のそよぎ哉>

 丸坊主後の数年間は床屋も、次第に電気バリカンで手前坊主になった。気分次第でゼロミリ、3ミリ刈り。法事に行くと、俗臭漂う坊主よりこっちの方が解脱している。あの頃に若かったミュージシャンやロッカーらが今も白髪を染め、増毛し、カツラだったりして頑張っている姿をテレビで拝見すると失笑を禁じえぬ。ハゲの方がカッコいいのに。


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