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霊峰に鉄爪(アイゼン)括る覚悟哉 [おくのほそ道]

fuji1_1.jpg 那須・光明寺に行者堂あり。役の行者の一本歯の足駄が祀られていた。芭蕉は陸奥路に臨むにあたり、これを拝んで健脚にあやかろうと詠んだ。<夏山に足駄を拝む首途哉> 

 「おくのほそ道」の7句目。「首途=かどで、門出、旅立ち」。この句もじりは「夏山に⇒冬山に」、「首途哉⇒覚悟哉」にして<冬山に鉄爪括る覚悟哉>。うむ、季が重なる? ならば<霊峰に鉄爪(アイゼン)括る覚悟哉>

 アイゼンは登山靴に装着する鉄の爪。今はワンタッチ装着もあるそうだが、あたしが山男だった時分は凍らぬように油をたっぷり染みこませた平紐を、かじかんだ手で必死に括りつけ、「いざっ」とばかりに歩き出した。富士のような風の強い地はアイスバーンが多い。鉄爪がギシギシと食い込んで滑落(死)を防いでくれた。写真は11月下旬、丹沢の奥の富士山。今はもう厚い雪に被われているだろう。


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