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藤田嗣治展とレストラン [スケッチ・美術系]

tiwooyogu1_1.jpg 弊ブログで藤田嗣治シリーズ7回を終え、タイミングよく東京国立近代美術館で「MOMAT(モマット?)コレクション 特集:藤田嗣治」が開催された。

 小生には「自転車で軽く運動」の幾コース有り。そのなかの一つが皇居一周。新宿通りで半蔵門、桜田濠沿いに坂を下って日比谷左折で大手門、竹橋へ。帰路ポイントが緩やかな坂の始まりで、その右側に同館がある。今まで無関心だったが、にわか美術ファンで、いざ同美術館へと相成り候。

 自転車は、千代田区がコミュニティサイクル(シェア自転車)展開で主な施設に専用駐輪場設置で、その脇に止められた。入場券を求めれば「65歳以上無料」で驚いた。得した分を「ミュージアムショップ」の購入にまわせる。

 展示内容は同館所蔵の藤田作25点+1点で、戦争画14点の初一挙展示。「アッツ島玉砕」の一部、兵士が互いにアゴに手を伸ばして刺し違える図を二度模写したが、なんとその図はダ・ヴィンチ素描やラファエロ壁画にあるのと同ポーズ。藤田はそれを参考にしたらしいと同元絵写真も参考展示。藤田嗣治がこれはと思ってスケッチしておいたのを、同作に描いたのだろう。彼が勉強家だったことを物語り、また戦争画を歴史画として描こうとしたことも伺わせた。

 さて、同展覧会からどの絵を簡易模写しようか。刺し違え兵士図は二度も模写したし、裸体模写は恥ずかしい。そこで「ミョージアムショップ」で購った藤田著「随筆集 地を泳ぐ」挿入カットを模写することにした。あたしもこんなカットがスラスラ描けるように、と練習です。

 高齢者無料+自転車散歩コースで、今後は足しげく通いそうな美術館です。鑑賞に疲れて美しい皇居風景を見ながらカフェで寛ぎたいと思ったが、併設が有名シェフのレストランで高額ランチ・ディナー。貧乏隠居には無縁。そこで北の丸公園でコンビニおにぎりを頬張りつつ、「ショップ」で購入の図版や本をひも解いた。

 随筆にパリの貧乏物語あり。一片のパンも買えぬ時代に、彼のアトリエは同じく貧乏モデルらの塒になった。16歳のキキーが風邪から肺炎に。医者を呼ぶ金もない。藤田はフランス人画家のモデルになって2フランを稼いで医薬を買った。

 渡仏7年間、裸体画を描かなかったが、集大成として彼女の裸を乳白色の肌で描き上げた。同作を出品して大好評。4千フランで売れた。「さぁ、御馳走するぞ、レストランへ行こう」。だがキキーはためらう。藤田のモデル中は一文にもならず、服まで売って外套の下は裸だった。藤田の脚色入りエッセーだろうが、おにぎりを頬張りながら思わずグスッと鼻をすすった。


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