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平塚「大磯へいそくえき路の鈴の音に~」 [狂歌入東海道]

hiratukae1_1.jpg 八作目は「平塚・馬入川渡船」。狂歌は「大磯へいそくえき路の鈴の音にいさむ馬入の渡し船かな」。

 馬入川は現・相模川。渡船は一人十二文。渡った先に平塚宿の「江戸方見附」。絵の狂歌の「駅路の鈴の音」は、駅路(官道、ここでは東海道)を官令で旅する者に下された鈴、駅馬の供与を受ける証しの鈴の音。「音(ね)」は祢、「かな」は可奈のくずし字。

 弥次さんも、ここで一首詠んでいる。「川の名を問へばわたしとばかりにて入が馬入の人のあいさつ」。この「入が馬入(にゅうがばにゅう)」は仏語「入我我入(悟れば皆人、お前が我か我がお前か。はっきりしない、要を得ぬ意)」の地口遊び。駄洒落とは言え「入我我入」なる言葉を知らぬ小生には、同書校注を読まなければ理解不能。江戸庶民は、これでフフッと笑ったと思えば、江戸の教養は相当に高かった。

hiratukauta1_1.jpg 宝永堂版は「平塚・縄手道」。平塚を抜けて大磯へ向かう「縄手道=あぜ道」の風景。手前に「上方見附」の柱があって、飛脚が平塚宿へ入ろうとし、空駕籠を担いで大磯へ向かう二人組とすれ違っている。水田の向こうに「花水川」に架かる橋が見え、その奥に高麗山が盛り上がっている。

 馴染なき地と思っていたが「花水川」で思い出した。ここからは私事。仕事を半分辞めて、鳥撮りの趣味を始めた当初のこと。大久保駅の始発電車に乗って大磯へアオバトを撮りに行った。隣の鳥撮人が「未だカワセミを撮っていないのなら花水川へ行ってごらん。50㍍歩けば1羽に逢える」。

 大磯・照ヶ崎からテクテクと花水川まで歩いて、初めてカワセミを撮った(新宿御苑にもいると後で知るが~)。「川っておもしろいなぁ」と興奮しつつ限りなく遡上歩きして(ぶっ倒れるほど歩いて)幾種もの野鳥を撮った。もう8年も前の今頃の季節だった。今はもう歩く元気もなく机上で東海道遊びです。


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