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三嶋「今も猶夢路をたとる心ちかな~」 [狂歌入東海道]

12misimae1_1.jpg 十二作目は「三嶋」。狂歌は「今も猶夢路をたとる心ちかな はなとみしまの雪の曙」。きっと昨夜は三嶋女郎衆と〝いい事〟があって、夢心地で歩き出している、そんな意だろうか。

 さて、地箱根を越えたら小生には馴染のない地になる。三嶋は雪景色です。保永堂版の二ヶ所が雪景色ゆえに「狂歌入り」も「藤川」と併せて二作が雪景色になっている。

 この雪景色は、三嶋のどの辺を描いたのだろうか。箱根峠から三嶋宿までは下り坂。下りきって神川(現・大場川)の新町橋を渡ると三嶋の東見附。この辺りだろうと推測した。旅ブログを拝見すると、同橋際にこの絵を紹介した看板があったゆえ、推測に間違いはなさそう。

 12misimauta2_1.jpg 三嶋女郎衆は秀吉命によったとかで歴史がある。彼女らは富士の雪解け水で化粧するので美しい。「農兵節」抜粋をつなげると ~富士の白雪の~え、白雪ぁ朝日でとける、とけて流れて三嶋にそそぐ、三島女郎衆はの~え、女郎衆はお化粧が長い~。

 弥次喜多のふたりは、箱根峠を下り始めて相変わらずバカをやっていた。向こうから大名の国許から江戸入りするだろう女中四、五人連れが来た。喜多さん「白い手拭を被ると粋な男風になる」と〝さらしの手拭〟で頬被り。

 案の定、女らは笑った。得意げな喜多さんに弥次さん「何が色男だぇ、そりゅあ越中ふんどしじゃねぇか」。そこで一首。「手ぬぐひとおもふてかぶるふんどしはさてこそ恥をさらしなりけり」。「恥をさらし⇒晒しふんどし」、「さてこそ=そういうわけで」。

 やがて彼らは一人旅の十吉と意気投合。途中で子供らがすっぽんを捕えて遊んでいるのを見て、浦島太郎よろしくすっぽんを買い上げて三嶋宿へ。三人相部屋で三嶋女郎衆をあげた。夜もたっぷりふけた頃、すっぽんが喜多さんの夜着のなかにもぐり込む。慌てて放り投げると弥次さんの顔の上。さらに指を咥えて離さない。

 大騒ぎ勃発。気付けば十吉が消えていた。胴巻の金もない。ごまの灰(泥棒)にしてやられた。残り銭をかき集めてどうにか旅籠を出る。泣く泣く一首。「ことわざの枯木に花はさきもせで(せず)目をこすらするごまの灰かな」。


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