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蒲の穂や満を持してのショーを見せ [花と昆虫]

gamanoho2_1.jpg 「へっつい考」シリーズ中の110日のこと。ちょいと“いいもの”を観せてもらった。その日は雪の予報に反して晴れ。強い北風が吹き抜けていた。「何を好き好んで…」と寒さに震えつつも新宿御苑へ。蝋梅が幾輪か咲き始めていた。そこから「母と子の池」へ。「アッ」と息を呑んだ。

 

 強風が吹く度に「蒲の穂」の綿毛が盛大に飛散するビッグショーが展開されていたじゃないか。蒲の穂綿が、緩やかな風に華麗な漂い、時に吹く強風に狂ったように乱舞。様々に変化する蒲の穂綿のショータイム。さて、高速シャッターで、いやスローシャッターで撮りましょうか。いや、この場合はムービーで撮った方が良かったのかもしれぬが…。

 

 東京生まれ新宿在住ゆえ「蒲の穂」は珍しい。葉が青い時期の、枯れてからのと二通りの「蒲の穂」にシャッターを切っていた。そのうちに「へっつい考」調べで、火打石で発した火花を移す火口(ほくち)に、蒲の穂綿が用いられると知った。そして穂綿の息を飲むスペクタクルショーを見たという次第。恐らくこれは蒲の「お・ま・つ・り」。

 

gamanoho4_1.jpg 蒲の穂綿には皮膚を収斂、止血効果あリ。昔は穂綿を袋に詰めて生理用品としても使ったとか。そう云えば、サメに丸裸にされた「因幡の白ウサギ」も、蒲の穂綿に包まれて傷を癒したと歌われている。

 今度はマクロレンズで、穂綿=種を撮ってみましょう。


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山茶花や散るが風情と連れもなし [花と昆虫]

sazanka1_2_1.jpg 山茶花の花は頼りなげに平らに開いて、その花弁は紙のように薄い。花弁の付け根がギュッと合着せぬ構造(離弁花)で、強い風が吹けば一枚一枚がパラパラと散り、実に頼りなく儚い。

 

 サクラも離弁花だが、山茶花はまさに「散る風情」の代表花だろう。不倫歌『さざんかの宿』まさにぴったりで、さすが吉岡治さん。比して“ツバキ”は肉置き豊かな年増のよう。アンコ娘は情が深いし、サザンカよりツバキ油の方がグッと濃厚、効能も大なる雰囲気をもつ。

伊豆大島被災一か月後に我がロッジの按配を見に行った。その時に被災のテレビ報道で何度も顔を拝見した〇〇ちゃんのところで、新宿の近所のバアさん連とかかぁがより美しくなるようにと、美顔用の椿油を幾つか購った。皆さん、来春の「椿まつり」が楽しみだと云ってくださった。

 

近所のバアさん連は、なぜか未亡人ばかり。旦那が先に逝き、あたしだけが生き残っている。★ええっ、猪瀬直樹が辞任表明と! その散りざまのなんたる醜態よ。知事就任と同時、今年1月から25回に及んでマイカテゴリー『ミカドの肖像』検証シリーズを記したが、改めて己の駄文を読み返してみましょ。


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石蕗の花ツチバチだけが待ち望み [花と昆虫]

kinke5_1.jpg ベランダの一本のローズマリーだけでも、実に様々なムシに出逢える。今度はミツバチより倍以上の大きな蜂が飛んできた。あたしのマクロレンズのワーキングディスタンスは90ミリだが、刺されちゃいけないから25㎝ほどで撮った(写真下)。これまたネットのハチ図鑑検索で、キンケハラナガツチバチ(金毛腹長土蜂)かなと判定。触角が長いのがオスで、これはメスらしい。晩夏から秋にかけて出没し、メスのみ成虫で越冬。作物の根を侵すコガネムシの幼虫に寄生(幼虫に産卵)。

 

 先日、新宿御苑に行ったらツワブキ(艶蕗、石蕗)の黄色の花が満開(花期は1011月)で、キンケハラナガツチバチが群がっていた。(写真は400ミリの望遠レンズ)。

 石蕗・艶蕗の季は春だが、「石蕗の花=つわのはな」は秋の季語。好きな其角の句に「蝶ひとつとばぬ日かげや石蕗の花」がある。そんな石蕗の花だが、キンケハラナガツチバチだけは、その開花を今か今かと待っていたに違いない。

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再びの収穫ありと唐辛子 [花と昆虫]

naitou2ban1_1_1.jpg 先日「梅花空木」の狂い咲きを記したが、同じく7階ベランダで栽培の内藤新宿の江戸野菜「内藤唐辛子」が、収穫後に再び花が咲き、唐辛子をたわわに実らせた。

 

一昨年に三苗をいただき、赤い実を収穫。今年はその実から種を蒔き、プランターにびっしりと発芽。三苗に絞り込んで150余の真赤な唐辛子を収穫した。これで今年も充分…と思っていたのだが、再びの収穫を迎えんとしている。調べてみれば一年草ながら二度収穫が摂理とか。まったくわかっていなかった。

 

一方、伊豆大島で購った「明日葉の種」も見事に発芽して、目下、二つのプランターで育っている。早や若葉を収穫して天麩羅、おひたしで食していたが、調べてみれば二年目から収穫すべしとあった。多年草とはいえ、花が咲いたら枯れるとか。咲かさずに花茎を摘み取ることで長生きさせる。花が咲いて枯れる…それで多年草か。この辺もよくわからない。

 

隠居なれど、江戸時代のくずし字をはじめ、植物や昆虫、まして“どう生きるか”なんてこたは皆目わからぬ。いつ死んでもいい歳になったのに、わからぬ事が余りに多くて、もうちょっと生きてみたいと思うようになってきた。だが先輩、同年配は次々に逝く。


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花咲けば善悪美醜混じり来て [花と昆虫]

abu1_1.jpg 美しい花に、蝶や蜂の吸蜜姿は絵になるも、他にナニが訪れるかはわからぬ。これは「ハエ」か。いや「ハナアブ」らしい。キク科受粉に活躍とか。この辺でもキクが咲き始めたゆえに、そちらへ移る立ち寄りだったか。

 

 花は受粉できれば、どんなムシでも歓迎だろうが、女の子が花咲く頃になれば、善悪美醜さまざまな男らが群がる。悪いムシが付き、不幸な事にならねばいいが。青年らは失恋の修行が足らず、女子は思慮分別が足らぬか。

 

 そんなことを思いつつ写真を見れば、この「ハナアブ」の“性根はいかがや”と思ったりした。見た目は粗暴っぽいが、健気な働き者のように思えてきた。

 


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通い来てねぐら何処(いずこ)と秋の蜂 [花と昆虫]

hati1_1.jpg ローズマリーにどこからか五、六匹のミツバチが日々通ってきた。新宿のマンション7階に、どこから飛んでくるのやら。図鑑で見ればニホンミツバチらしい。通ってくるからには、どこかに巣があり、女王蜂もいよう。

 

 ミツバチといえば養蜂。最近は都会でも彼方此方で「養蜂プロジェクト」が展開されているとか。ここに来るハチの営みはどうなっているだろう。わからないことばっかりです。

 

 ちなみに蜂の群れは1匹の女王蜂に、95%の産卵せぬ♀の働き蜂。交尾の他は存在感ゼロの5%の♂で構成とか。男がだらしない今、やがては蜂のような世界がくるような気もしないではないが、日本の女性議員に期待できる方はゼロ。日本という社会、国家は弱体の一途なのだろう。


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屁糞喰ふ星蜂雀の花蜜吸ひ [花と昆虫]

suzume1_1_1.jpg「おや、蜂にしちゃあ大きいな」。蜂に擬態をしているか。ホバリングしながらチェリーセイジ吸密中を撮った。モニターを見たらブレていたが、初めて撮ったゆえにアップ。非常に長い口から、さらにニョロッと管が伸びて(鳥のアリスイと同じ)花芯に届いているような。

 

最初は名が浮かばず「スカシバガ」かとネット画像を検索すれば、その中にスカシガバ交尾写真あり。「どこかで見たなぁ」と思ったら、あたしが撮った写真でビックリした。ここで「スカシバガ」ではなく「スズメガ」と気付いて、チョウ目スズメガ科をネット検索。

 

茶色っぽい後翅のイエローが目立って、腹部に白い帯。間違いなくスズメバの「ホシホウジャク(星蜂雀)」と判明。なんともロマンチックな名よ。しかし幼虫(イモムシ)の時の食草はヘクソカズラ(屁糞蔓)とか。屁糞を喰ひ育った姿と言えなくもないが、ホバリングしつつの吸蜜の姿は、どこか妖しく神秘な魅力もある。

 

suzume3_1.jpg なお大型スズメガは、夜中にウジャウジャの花弁をのばし咲くカラスウリのポリネーター(花粉媒体者 pollinator)とか。いつかはそんな真夜中の幻想吸蜜シーンを見てみたい。


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狂い咲き白い小花にムシも舞ひ [花と昆虫]

hamusi6_1.jpg ベランダの梅花空木が、どうしたものか狂い咲き二輪。例年は梅雨時に可憐な白い小花が満開になる。夜、ガラス越しに仄かに見える白花は、清廉なれど妖しくもあり。それが秋になって狂い咲いた。よく見ると花弁に5ミリほどの虫がいた。

 

マクロレンズで撮って、ネットの昆虫図鑑で調べた。「クロウリハムシ」らしい。オレンジ色の体色に黒い上翅。キュウリなどのウリ科大好きの害虫。都会の7階ベランダになぜ来たか?

 

 狂い咲いても虫が舞う。虫が舞うから狂い咲く。まぁ、尋常な咲き方ではない。人が狂い咲くなら、秘して咲くがよかろうぞ。昨今の「週刊ポスト」「週刊現代」の新聞広告を拝見すると、両誌は毎週にわたって高齢者セックス特集で競い合っている。なんとも見苦しい。「週刊文春」と「週刊新潮」はこれまた“狂い咲き・みのもんた”特集で対決。おっと、「新潮」のトップ特集が少し気になる、年に数度しか買わぬ週刊誌だが「新潮」を買ってみようかしら。

 さて、猫の額ほどのベランダだが、眼をマクロにすれば、それなりに自然が覗ける。チェリーセイジやローズマリーには他の虫も集っている。


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隠居して三度も逢ふて蜆蝶 [花と昆虫]

uranamisijimi5_1.jpg 猛暑続きの夏が終わり、待望の秋風に誘われてベランダに出た。ローズマリーの蜜を「裏浪小灰蝶(ウラナミシジミチョウ)」が吸っていた。気付けば、ここ三年連続で見ている。蜆蝶の季語は春だが、この蜆蝶は例年秋口に我が家のベランダに訪れる。あたしには秋の季語だ。

 

 移動性の高い蝶で、南から分布を広げて東日本では秋口に現れ、やがて寒さに死滅すると云う。毎年、数日の出逢いにすぎぬが、三年連続で逢えば「おぉ、また逢ったなぁ」と呟きたくなる。やがてはこの蜆蝶の訪れで、秋を知るようになるやもしれぬ。老い先短い隠居が友にするには、お似合いの蜆蝶かも。


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とうがらし収穫笊の色溢れ [花と昆虫]

naitousyukaku1_1.jpg 昨年収穫の実を種まきして、今年も内藤唐辛子(内藤新宿の江戸野菜)が収穫できた。目下はたわわな実が真っ赤に染まりつつあって、一部を初収穫。ガクの緑と赤。反対色なのに分量比が良いのか、お見事と言いたいほどの鮮やかさ。この調子で次々収穫で150個も採れましょうか。
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唐辛子白き小花と蜂の秘儀 [花と昆虫]

naiyojyufun_1.jpg 昨日のこと。かかぁの叫び声に「どうした」と。内藤唐辛子に青虫がいたと言う。見ると虫は見つからぬが、せっかく3、4㎝ほどに育った緑の実の幾つもが喰われていた。喰われて枯れた実もあり、実の先端だけ喰われているのがずいぶんあった。

 

 放ってはおけぬ。執拗に青虫探し。いた、いた。8㎝ほどの奴。いずれは綺麗な蝶になろうが、内藤唐辛子は昨年の実を種にして育てた我が家育ち。守ってやらねば。

 

 パソコン画像を見たら、730日に撮った蜂の吸密(受粉)シーンあり。内藤唐辛子の可憐な白い花、メシベに黒灰色のオシベが美しい。見ていな所で蜂以外の昆虫も受粉に働いたか。

 

 猛暑続き。プランターの唐辛子やバジルをはじめ水をやらぬと途端に萎んでしまう。そして虫の除去。ベランダ菜園でも日々の手入れは欠かせぬ。さて、今年もどれほどの紅い内藤唐辛子が収穫できましょうや。


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夕蝉や啼き甲斐ほそし苗木かな [花と昆虫]

aburazemi2_1_1.jpg 朝、アブラゼミに比し、次第にミンミンゼミの啼き声に勢いが出てきたと思った。そんな夕方、七階ベランダの紅葉の苗木にアブラゼミが止まって啼いた。

 ベランダには今春から四つの紅葉の植木鉢がある。十センチほどの苗木から育て、三本は親爺がやっていたように盆栽風に育てている。

 残りの一本は、かかぁの紅葉。そんなに刈り込んではなくて、幹がエンピツ程の太さになった。そこに蝉が止まって啼いた。「まぁ、こんな小さな木に・・・」。苗から育て、蝉に木と認められたと、ちょっとうれしそうに言った。アブラゼミに続いて、今度ベランダに迷い込んでくるのはミンミンゼミ、そしてツクツクボウシだろうか。


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クマバチや飛べる秘を問ふ紅い花 [花と昆虫]

hati2_1.jpg 前回で、芭蕉と其角と露伴の「蝶」の句が出たところで蝶の句をと思ったが「ウラナミシジミ」を詠んだばかり。さてとパソコン内画像を探れば、六月に撮ったクマバチが残されていた。よし、これで駄句遊び・・・。

 ISO1600で、1/2000secの高速シャッター。どうでぇ、これで問題の翅が止まった。丸々とした大きなボディに比し、余りに小さい翅。飛べるはずもない道理を超えて、チェリーセイジの紅い花に蜜を求めて力強いホバリング。なぜこんなに小さな翅で飛べるのか・・・。

 毎年のこと、六月の二週間ほど、どこからか毎日通ってきて、どこかに消える。今頃は羽化した子供バチと共に、どこかの枯れ木ん中で越冬準備をしているのかもしれない。また逢えるのは、来年六月頃。

 ★昨日、新宿御苑ウォーキング。工事中だった「大温室」が完成で見学できた。次回の御苑散歩は望遠レンズではなくマクロレンズ持参です。★「オーマイゴット!」 ボケが始まった。この写真で一句は、すでに(7月5日)アップ済み。戒めに、このままにする。間違いの原因は、古い写真をいつまでもパソコン内に置いたままってこと。撮ったらさっさとCDRに落としましょ。


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裏波といふシジミ識る老いの庭 [花と昆虫]

uranamisijimi1_1.jpg 隠居7Fの小さなベランダに、秋だというのに蝶が飛んで来た。ヤマトシジミより一回り大きい。マクロレンズで撮った。可愛い尻尾がある。ウラナミシジミ(裏波小灰蝶)。南方系種で、秋になって北、関東にも飛んで来て、やがて寒さに死ぬそうな。死を承知の秋の飛翔。

 「裏波」ってことは、翅を閉じた側が裏で、そこに波模様の意。薄茶色の波模様がある。「裏波小灰蝶」を識り、蝶の裏と表も初めて識った。

 こんなことも識らず、今まで何を生きて来たか。若い時分は遊びに夢中で、それから仕事に夢中で、なんだか今になって、やっとまともに生きている感が無きにしも非ず。とは云へ身体は「老いの波」に晒され、こんな新たな知識を食って、どうにか生きている。写真下が「蝶の表」。

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灼熱に内藤の赤染まり行き [花と昆虫]

naitou2_1.jpg 5月中旬に四谷でいただいた「内藤とうがらし」(八房唐辛子)の3苗が、見事に育って、真夏の日を浴びて次第に真っ赤に染まりつつあります。

 江戸時代は内藤新宿、大久保辺りは、この内藤とうがらしで真っ赤に染まったとか。3苗いただきましたが、1苗に約50個の実が付いて、計150個。半分食べて、半分は種保存で来春にぜひ発芽させてみたく思っています。

 熱い日々です。皆様、ご自愛下さいませ。


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冷房の窓越しにゐるトンボ哉 [花と昆虫]

mugitonbo1_1.jpg 年寄りですから、テレビのニュースが「熱中症で老人がまた亡くなりました」なぁ~んて言うから、怖くなってクーラーの部屋に閉じ籠ってしまう。

 カーテンを薄眼に開けたかかぁが言った。「おまいさん、見てごらんよ。あの枝にトンボが止まっているよぅ」

 「あの枝」とは、春に遊び来るメジロ用に設けた小枝で、メジロが去って撤去しようとしたら、小雀が親雀から餌をもらう枝になったりで捨てられずにいたもの。

 止まったのはムギワラトンボ(シオカラトンボの雌)。さて、今度は何が止まってくれるか。


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今日もまた子育てかしらクマんバチ [花と昆虫]

hati2_1.jpg 窓際で読書の日々。ふとベランダを見れば、毎日のようにクマバチがやってくる。集団行動嫌いで単独生活、かつ穏やかな性格と云えば、ふっ、あたしと同じぢゃないか。

 調べれば、この時期は母ハチが羽化(うか)した子にセッセと花粉や蜜を与えるとか。都会のマンション7階の小さなベランダだが、春にはメジロが集い、今は小雀が親雀から餌を貰い、3軒隣マンションの地下駐車場天井で孵ったツバメらが頬を掠め飛んで行く。

 クマバチも、この時期この場所近くに巣があるのなら、来年も再来年も訪れて欲しい。そのために、来年はもっと花を咲かせましょうかと思案する。 50ミリのマクロレンズ。ISOを1600に上げ、sec1/2000でやっと羽ばたきが止まった。


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八房や白から緑そして赤 [花と昆虫]

naitou1_1.jpg 江戸時代に内藤新宿から大久保辺りの畑一面を、真っ赤に染めたという内藤とうがらし(八房唐辛子)。江戸野菜を復活させようという団体?からいただいた三苗が順調に育っている。

 花が咲く前の一苗に油虫が群がり、慌てて有機系除虫剤を散布したが、現在は三苗共に写真のような白花が咲き、そこから可愛い緑の角、牙状の実がニュキニョキと出てきた。これがやがて天に向い立つ赤いとうがらしとなる。

 かかぁは「食べたりしませんよ。来春は種撒き、苗作り。成功したら近所に配ります」と愛でている。小さなベランダの小さな楽しみでございます。


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老暮し青条三条蝶の舞ひ [花と昆虫]

aosuji1_1.jpg 先日の「新宿御苑」散歩で、アオスジアゲハ他を見た。すでに隠居暮らしゆえ、青筋立て怒りつつ仕事するなんて事もなく、気が向けばのんびりと公園散歩です。ワーカホリック的に働いていた時分には気付かなかっただろう蝶の舞ひにも眼が止まる。あれは何蝶だろうかと調べる余裕もある。かくして散歩カメラに収まったのはニワナナカマド(庭七竈)の葉に止まったアオスジアゲハ(青条揚羽・写真上)、コミスジチョウ(小三条蝶・写真下)、ナミアゲハ(並揚羽)だった。

 梅雨時分にはアオスジアゲハが多いのだろうか。野暮用(やだねぇ、まだ少しだけ仕事をしている)で「田端」の印刷屋へ行ったら、前を歩く女子の肩にアオスジアゲハが止まって、本人気付かぬまま駅の改札口を入って行った。一瞬、夢幻を見た。

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内藤といふ唐辛子苗を植ゑ [花と昆虫]

naitout1_1.jpg きのう、かかぁが四谷まで出かけて「内藤とうがらし」の苗をいただいてきた。話を聞くと徳川家康の家臣・内藤家が新宿に屋敷を構え(今の新宿御苑)、彼らの地元の唐辛子を栽培。これが江戸野菜となって内藤新宿から大久保辺りまでの畑が一面に真っ赤になったとか。かくして「内藤とうがらし」。八房トウガラシといふ品種らしい。夏に白い花が咲き、秋に赤い唐辛子が天を向いて実るそうな。

 かつて伊豆大島の「アオト」を育てたことがある。島暮しの帰りに苗を持ち帰り、ベランダで育てた。やはり三苗で、たわわに実った。これは一つの実の数ミリを刻むだけで、昇天したくなるほどの辛さ。島では必需品(実)で、時期になれば島の野菜即売所で青い実が売り出される。一掴みほどの実を冷凍保存して、小出しに使えば1年はもつ。さて、内藤とうがらしです。かかぁは実がなったら、来年は種から苗作り・・・と張り切っている。

 ちなみに芳賀善次郎著「新宿の散歩道」(昭和48年刊)によると・・・内藤屋敷敷内の畑地では「八房とうがらし」が栽培された。それがもとになって宿場付近で盛んに栽培されるようになり、「内藤とうがらし」と呼ばれて有名になった。さかりのころになると宿場周辺から大久保にかけての畑は真っ赤に色どられて美しかったという。文政、天保ころの川柳につぎのようなものがある。~八房をつけた内藤の駒は出る ~四房の数珠八房をさして行き 狂歌では~下枝は紅葉せしかと見ゆるなり 唐からし干す四谷新宿 


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妖艶な白蓮の恋乱れ揺れ(白蓮1) [花と昆虫]

byakuren2_1.jpg 新宿御苑で「白木蓮」の白い妖艶な花が咲き誇り、風に揺れていた。「白木蓮」は中国原産で20㍍に達する高樹。同じ科の「木蓮」は同じく中国原産で暗紅紫色の花。「コブシ」は日本種で高さ8~10㍍。

 先日、大久保の梅屋庄吉夫妻が、大正の世を騒がせた「白蓮」の恋を陰で支えていたと記したので、簡単に説明を・・・。白蓮の本名は柳原燁子(あきこ)。伯爵柳原前光の次女。父の妹・愛子は大正天皇の生母。16歳で北小路子爵に嫁(か)すも、男児を産んで21歳で離婚。27歳で52歳の炭鉱王・伊藤伝右衛門と再婚。豪勢な暮らしと歌集「踏絵」などで筑紫の女王。大正10年、出奔して帝大生・宮崎竜介の許に走った。この時、白蓮36歳、竜介29歳、伝右衛門への絶縁状が新聞に載って、世は大騒ぎになった。

 この恋の陰に大久保の梅屋庄吉がいた。竜介は辛亥革命の仲間・宮崎滔天(とうてん)の息子で、親子共に資金援助し続けてきた縁で、手助けしたらしい。身のまわりのことも人任せだった白蓮を、梅屋の妻トクが別荘で一ヶ月の花嫁修業をさせたとか。(小坂文乃「革命をプロデュースした男」)。 なお、竜介は結核で伏せ、白蓮が筆一本で生活を支えた時期もあったそうだが、後に竜介は弁護士で活躍。池袋の宮崎滔天宅で夫妻仲良く暮らし、戦後は婦人運動、平和運動に尽力した。昭和42年、81歳で没。

 昭和6年に夫婦で中国旅行なる記述。「もしや」と思って、車田譲治「国父孫文と梅屋庄吉」をひもとけば、梅屋の備忘録に中国から帰国して関西滞在中に「昭和6年8月、宮崎竜介・燁子夫婦来る」があった。白蓮の恋は著述業者の絶好ネタ。同時代の長谷川時雨をはじめ、今も多くの作家が書いている。

 永畑道子「恋の華 白蓮事件」を読んだ。新事実を次々に掘り起こし、白蓮の人間象を浮き彫りにして一気読了。読み応えのある本だった。白蓮の略年譜、生母奥津家・柳原家・北小路家・伊藤家・宮崎家の略系図付き。藤原書店2008年刊だが、これは1982年に新評論より刊行された版とか。小坂文乃や車田譲治の梅屋本はまだ世に出ていなかったのだろう、梅屋庄吉への言及は一切なかった。


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乳搾り滴る白や花馬酔木 [花と昆虫]

asabi1_1.jpg 先日、新宿御苑で「キブシ(木五倍子)」を「馬酔木」と間違えたが、一昨日の墓参りで「馬酔木」を見た。共に花期が同じで、房状・壺形・白・・・と花の感じが似ていた。だが、間違えたらエラいことになる。「木五倍子」の実は「お歯黒」の染料になるが、「馬酔木」の葉には毒がある。馬が食えば足が萎え、別名「馬不喰(うまくわず)」。鹿も食わぬから、奈良公園には「馬酔木」だけが増えているとか。ほ乳類は食べてはいけない。

 正岡子規の根岸短歌会から伊藤左千夫らが創刊したのが「馬酔木」。こちらは「あせび」ではなく「あしび」。手許の本では、どんな理由で「馬酔木」を題名にしたのかがわからず。左千夫は今の「錦糸町駅」辺りで牛乳搾取業をしていた。タコ入道のような風貌に無骨な手をしていたが、歌を詠み、茶の湯をたしなみ、純情小説「野菊の墓」も書いた。<牛飼が歌よむ時に世の中の新しき歌大いにおこる>は有名な歌とか。短歌機関誌に「馬酔木」としたワケは、牛の乳を搾りつつ、その白乳色に馬酔木の花を想ったのじゃないかと勝手に想像した。<乳搾り滴る白や花馬酔木>


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跪き崇め撮らすやイヌフグリ [花と昆虫]

inufuguri1_1.jpg 昨日の「キブシ(木五倍子)」に次いで、これまた変な名の「オオイヌノフグリ(大犬陰嚢)」。日本のイヌノフグリは淡いピンクの3~5ミリの花で、その数ミリの実が犬のふぐり(陰嚢)に似ているそうだが、絶滅危惧種で滅多にお目にかかれない。比してこのオオイヌノフグリはヨーロッパからの帰化植物で大繁殖。その実は、それほど犬のフグリに似ていないそうな。この季節、その淡いブルーの花が一面に咲いている。一日花らしく、散っては次々と次の花が咲く。

 小さな植物だから、花を撮ろうとすれば地に膝をつけ、さらに這いつくばるようにしないと撮れない。大繁殖のオオイヌノフグリより、むしろそんな恰好で写真を撮っている人の方が珍しい、可笑しい。<跪(ひざまず)き崇(あが)め撮らすやイヌフグリ>


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お歯黒の凄艶秘して花木五倍子(キブシ) [花と昆虫]

hanakibusi1_1.jpg 根岸の「子規庵」の次は新宿御苑ウォーク。年間パスの手続きをして門を入った処に、垂れ穂状の花が咲いていた。かかぁが「馬酔木(あせび・あしび)」と言った。「馬酔木」なら子規の根岸短歌会の、伊藤左千夫らが創刊した機関紙。

 花の様子が「馬酔木」に似ていたが、それは「キブシ」だった。「八丈キブシ」らしい。キブシは「木五倍子」と書く。読めない漢字には、曰くがある。調べたら、こうだ。・・・ウルシ科の木の葉の付け根にできる虫の瘤が「付子(ふし)」。これが徐々に膨らんで五倍ほどに大きくなって「五倍子(ごばいし)」。タンニンを含んで、染料の原料になる。そして、この木(キボシ)の実が、「五倍子」の代用で使われたので「木五倍子」。

 で、これが「お歯黒」の染料になったてぇから驚くじゃないか。今度は逆に「おはぐろ」を漢字で求めれば「鉄漿(てっしょう・かね)」、御所では「五倍子水(ふしみず)」とか。「お歯黒」調べはもっと面白いが、長くなるので今回はここまで。


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沈丁花移り香消して朝帰り [花と昆虫]

jincyouge2_1.jpg 「おまいさん、たまには艶っぽい句をお詠みよ」と、かかぁが言った。

<沈丁花移り香消して朝帰り>

 「おまいさん、それはいったい何時のことだぇ」

 沈丁花は(ちんちょうげ)ではなく(じんちょうげ)で季は春。彼方此方で咲き出しました。


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遅き春ねぐせのやうな辛夷かな [花と昆虫]

kobusi1_1.jpg 今年の春は遅い。梅や桜は一ヶ月遅れの開花か。いったいどうしたのだろう。冬の間から綿毛に育まれていたコブシの蕾も、いっこうに綻ぶ気配がない。よく見ると、綿毛が寝癖のように乱れたまま。

 <遅き春ねぐせのやうな辛夷かな> と詠んみて、あたしは改めて「惚れた腫れた」をはじめ人の業・性・肌・情を詠まぬなぁと思った。短歌を詠まぬ故もここにある。泣いたり叫んだりの映画、テレビドラマ、それが得意の俳優も蛇蝎のごとく嫌い。

 テレビは震災を何故にドラマ仕立てにするのだろう。人の不幸や事件・事故・災害がおこると、嬉々とするニュースキャスターもいる。あぁ、嫌だイヤだと思う。


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紅梅や咲くと同時に姥になり [花と昆虫]

koubai2_1.jpg 咲いた梅は、どこか水気足らずの乾いた感がある。花弁、オシベ、メシベも干からびたように縮れ気味。艶がない。そう思えば、節曲がった枝も木肌も、他の木にない枯れ切った風情。いかにも隠居好みぢゃないか。<紅梅や咲くと同時に姥になり>

 従って、梅は開花直前の一瞬が色っぽい。<紅梅の朱唇ほころぶ色気かな>

 写真をよく見ればメシバが3本あった。「八ツ房梅」という種はメシベ8本もあって、八つの実が成るそうな。閑ゆえ、そんな観察から次第に「梅好き」となり、自分も枯れ切ってしまう気がした。いや、待てよ。梅は「枯れた艶」ってぇのを具現した花で、観賞に奥が深いのかも知れない。今度は開き干からびた感の写真で、「枯れた艶」を詠んでみようか・・・。


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クロッカス閉じて開いて幾度ぞ [花と昆虫]

crocus4_1.jpg ベランダのクロッカスが咲いた。忘れていた球根が年々春の訪れと共に開花し、それに驚いて詠んできた。最初はまず驚いて・・・<クロッカス有為転変に春を告ぐ> 次が植わったままの球根が次第に小さく衰えているように感じて・・・<クロッカス年々萎(しを)る我が身かな>

 今春、また新たな発見。見事に咲いた翌日は雨で、まぁ、見事に閉じた(写真下)。温度変化でかくも見事に開いたり閉じたりする花と知った。今春のクロッカスの句は・・・<クロッカス閉じて開いて幾度ぞ>

 閉じたり開いたりする花は、他にチューリップをはじめいろいろある。萎れた我が身も、また元気に咲き戻らないかしら。

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ニワトコや魔力を秘して芽吹きけり [花と昆虫]

niwatoko1_1.jpg 昨日の新宿御苑で春探し。遅い春を待ちかねた感で新芽と蕾を一気に吹き出したニワトコ。蕾はブロッコリーのような緑の塊。ニワトコ・・・どんな字だろう。

 スイカズラ科。「庭常」「接骨木(湿布剤になった)」。古名は「ミヤツコギ=宮仕う木、造木」。なにやら神事に関係あるらしい。御幣(幣束の敬語。お祓いをする時に用いる細い木に紙などを挟んだ祭具)の木。魔除け。薬草。果実酒材料。おや、西洋でも魔系か。興味がないので読まぬが、ハリーポッターの魔法魔術学校の校長が使う魔法の杖が「ニワトコの杖」とか。

 またひとつの植物を知った。やがて白い花が咲き、赤い実をつける。 <ニワトコや魔力を秘して芽吹きけり>


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姥の手が蕾定めや寒桜 [花と昆虫]

sakuratubomi1_1.jpg ちょっと前に撮った桜の蕾。閑な爺さん婆さんらが、それぞれ蕾を手にして状況を確かめていた。撮ってから約10日、今は綻び始めているやもしれぬ。

<姥(うば)の手が蕾定めや寒桜>

 姥の対義語が「尉(じょう)=老翁(おきな)」。冬鳥にジョウビタキがいる。漢字で「尉鶲」。これはジョウビタキ♂の頭部が灰色(銀色っぽい)で翁、尉ゆえの名前かしら、と思った。今度、鳥撮りのベテランに伺ってみよう。


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